防爆について
2021年01月26日
目次
防爆について
安全・安心な労働環境づくりの為の防爆について
防爆とは?
可燃性ガスや引火性液体を取り扱う危険場所において、電気機器から発生する火花や高温によるガス蒸気の爆発・火災を未然に防ぐことを言います。
爆発や火災はどうして発生するのか?
爆発・火災は、火炎、機械的摩擦、衝撃、高温表面、電気火花、電磁波などの各種着火源によって可燃物に着火して発生します。
可燃物には、固体(粉じん)、液体(蒸気)、気体(ガス)の形態のものがあり、爆発・火災は可燃物と着火源が共存するときに発生します。
爆発や火災を防ぐためには
- 着火源(電気設備等)と可燃物の共存を避けるようにする。
- 着火源(電気設備等)が着火作用(能力)を有しないようにする。
- 可燃物の可燃特性を消滅させるようにする。(可燃物の濃度を爆発下限界以下にする等)
しかし、工場や事業所等において、業務上、可燃性ガス・引火性の液体を常時取り扱っている場所で、様々な着火源との共存を避けるようにすることは一般的には、非現実的です。
このため、工場・事業所等で可燃性ガス・蒸気の取り扱う際には、出来る限り大気中に放出・漏洩しないよう設備・装置の設計製作し、運転操作・作業においてもこのように行うのが基本となっています。
防爆電気設備の必要性
ただ、現実には石油類の給油等可燃性ガス・蒸気が大気中に放出されたり漏洩する事が避けられず、この対策には限界があります。
そこで、可燃物の着火源とならないように電気設備に対して特別な技術的対策を講じた防爆電気設備の採用が行われています。
危険場所とは?
可燃性ガス・蒸気を取り扱っている工場・事業所で、操作中又は作業中にこれらが大気中に放出・漏洩すると、空気と混合して爆発性雰囲気を形成します。
この爆発性雰囲気が無視できないほど多く、電気設備が着火源となり爆発事故が起こりうる可能性のある場所を危険場所と呼び、危険場所には、必ず防爆電気機器の設置が義務付けられています。
危険場所の分類
危険場所は、爆発性ガス蒸気の放出・漏洩の頻度および爆発性雰囲気の存在時間によって、次の3つに分類されてています。
ゾーン0とは
①可燃性ガスの容器またはタンクなどの内部。
②引火性液体の容器またはタンク内液面上部の空間部。
ゾーン1とは
①爆発性ガスが通常の使用状態でも集積するおそれのあるところ。
②修繕・保守の際に、しばしば爆発性ガスが漏洩集積するところ。
ゾーン2とは
①容器または設備が事故のため破損したり、操作を誤った場合に爆発性ガスが漏洩したりするおそれのあるところ。
②爆発性ガス・蒸気が集積しないように換気装置などがほどこしてあるが、その装置の異常や事故で危険になるおそれのあるところ。
③ゾーン1の周辺または隣接する室内で爆発性ガスが時々侵入し、危険になるおそれのあるところ。
危険場所の各種別に適応する防爆構造の種類
防爆電気機器の防爆構造の種類と記号 | 使用に適する危険場所の種別 | |||
---|---|---|---|---|
準拠規格 | 防爆構造の種類及び記号 | 0種場所 | 1種場所 | 2種場所 |
構造規格 | 本質安全防爆構造 i | ○ | ○ | ○ |
耐圧防爆構造 d | × | ○ | ○ | |
内圧防爆構造 f | × | ○ | ○ | |
安全増防爆構造 e | × | △ | ○ | |
油入防爆構造 o | × | △ | ○ | |
特殊防爆構造 s | – | – | – | |
技術的基準 | 本質安全防爆構造 Ex ia | ○ | ○ | ○ |
本質安全防爆構造 Ex ib | × | ○ | ○ | |
耐圧防爆構造 Ex d | × | ○ | ○ | |
内圧防爆構造 Ex p | × | ○ | ○ | |
安全増防爆構造 Ex e | × | ○ | ○ | |
油入防爆構造 Ex o | × | ○ | ○ | |
特殊防爆構造 Ex s | – | – | – |
記号 | 意味 |
---|---|
○ | 適するもの。 |
△ | 法規では容認されているが、避けたいもの。 |
× | 法規には明記されていないが、適さないもの。 |
– | 適用されている防爆原理によって適否を判断すべきもの。 |
防爆構造種類を示す記号
構造規格による表示 | 国際整合防爆指針による表示 | ||
---|---|---|---|
防爆構造であること | – | Ex | |
防爆構造の種類 | 耐圧防爆構造 | d | d |
内圧防爆構造 | f | px又はpy | |
安全増防爆構造 | e | e | |
油入防爆構造 | o | o | |
本質安全防爆構造 | ia又はib | ia又はib | |
特殊防爆構造 | s | s | |
非点火防爆構造 | n | – | |
樹脂充填防爆構造 | ma又はmb | – |
爆発等級又はグループを示す記号
防爆構造の種類 | 記号 | |
---|---|---|
構造規格による爆発等級 | 国際整合防爆指針によるグループ | |
耐圧防爆構造 | 1,2,3(a,b,c,n) | ⅡA,ⅡB,ⅡC |
内圧防爆構造 | – | Ⅱ |
安全増防爆構造 | – | Ⅱ |
油入防爆構造 | – | Ⅱ |
本質安全防爆構造 | 1,2,3(a,b,c,n) | ⅡA,ⅡB,ⅡC |
特殊防爆構造 | – | – |
非点火防爆構造 | – | – |
樹脂充填防爆構造 | – | – |
a | :水性ガス及び水素 (水性ガスとは、水素をコークスより生成するときに発生する) |
b | :二硫化炭素 |
c | :アセチレン |
n | :爆発等級3のすべてのガスを対象 |
発火度又は温度等級を示す記号
防爆構造の種類 | 記号 | |
---|---|---|
構造規格による発火度 | 国際整合防爆指針による温度等級 | |
各種防爆構造に共通 | G1,G2,G3,G4,G5 | T1,T2,T3,T4,T5,T6 |
電気機器の温度等級に対応するガス又は蒸気の分類
電気機器の最高表面温度(℃) | 温度等級 | ガス又は蒸気発火温度の値(℃) | 温度上昇限度(℃) |
---|---|---|---|
450以下 | T1 | 450を超えるもの | 410 |
300以下 | T2 | 300を超え450以下 | 260 |
200以下 | T3 | 200を超え300以下 | 160 |
135以下 | T4 | 135を超え200以下 | 95 |
100以下 | T5 | 100を超え135以下 | 60 |
85以下 | T6 | 85を超え100以下 | 45 |
無電極ランプ防爆仕様ALE018の防爆構造は?
【ExdⅡB+H2T5】となっており、耐圧防爆器具としての性能を有していますので、器具内部爆発に対して、外部への爆発要因(火源)とならない仕様です。
※耐圧防爆構造とは、爆発性ガスが電気機器の容器内に侵入して内部で爆発しても、容器がその爆発圧力に十分耐える強度を持つとともに、爆発によって生じた火災や高温ガスが周囲の爆発性ガスに点火するのを防止しうる構造をいいます。さらに、爆発性ガスに触れる機器外面の温度上昇も、発火度に応じて低く設計されています。