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シールとは?
シール(Oリング、ガスケット、パッキン)の基礎編

「シールをよく購入しているけど実際どういったものなの?」
「自社で使用しているシールは用途に合っているの?」
「あまり生活でシールに馴染みがないので、新人へどういうものかどのように伝えたらいいか分からない」
というような声もあり、シールの基礎について分かる動画を作成しました。

内容も文字で記載しておりますので合わせてご確認ください。

シールの定義

シールは、日本産業規格JIS B 0116「パッキン及びガスケット用語」で、以下の通り定義付けされております。

流体の漏れまたは外部からの異物の侵入を防止するために用いる装置の総称

また国内では、密封装置と訳して表現することもあります。

シールは各種の油空圧機器などに組み込まれており、その存在さえ知られていない場合がほとんどです。
しかしながら、ほとんどの機器においては、そのシールの優劣がその機器の機能を左右させるものであり、重視されております。

また、シールをしないと、熱・におい・薬品などの漏れから重大な事故につながる場合もあります。
これらのことから、機器が性能を保ち、漏れによる事故を防ぐため、シールする意味があります。

シールの分類

用途別

シールの種類には用途別・構造形状別・材料別などの分類方法がありますが、まずは、用途別の運動用シール固定用シールに分類してみます。

  • 運動用シール
    パッキン(packing)と呼ばれ、回転運動、らせん運動、往復運動などの運動箇所の密封に用いられます。メカニカルシールやロッドパッキンなどは、軸封部をシールするため「軸シール」と呼ばれたりもします。
  • 固定用シール
    ガスケット(gasket)と呼ばれ、静止箇所の密封に用いられます。フランジ用などは点でなく面でシールすることから、「面シール」や「平パッキン(正しくば、平ガスケット)」と呼ぶ方もいらっしゃいます。その他、ユニオンで使用する用途もあることから、「ユニオンパッキン(正しくは、ユニオンガスケット)」と呼ばれることもあります。
  • 但し、シールで最もメジャーなOリング(オーリング)は、その特性からパッキン及びガスケットのどちらにも当てはまります。
    しかし、パッキン又はガスケットのどちらにしか該当しない製品の方が種類としては多いため、設備や用途に応じた適切なシール材・シール部品の選定が求められます。

構造形状別

各使用場所に応じて推奨される形状や種類が分類されております。

シール形状は断面図の形から名付けられているものも多く、Oリング(オーリング)・Xリング・Dリング・Tリングなどがあります。
断面が複雑形状のものなどを総称し、「シールリング」と呼ばれたりもします。

他、リップの付いたUパッキンや金属リングとゴムを組み合わせた環状形状のオイルシール、機械的にシールするメカニカルシールなど様々な種類があります。

シールの密封理論

なぜ、シールが漏れを止めることが出来るか、Oリング(オーリング)を例として説明します。

接触圧力

Oリング(オーリング)に圧力を与えることにより接触圧力(反発力)が発生し、この圧力によりシール(密封)することができます
この接触圧力P’に流体圧力Pがかかると常に最大接触圧力は、密封すべき流体の圧力より高くなり密封できる仕組み・原理になります。
このように流体圧力に応じて接触圧力が増すような仕組み・原理を自封性といいます。

硬度

また接触圧力は、使用するゴム材料の硬さを変えることにより変化させることもできます。
通常シールとしてはゴムの硬さは70度が一般的ですが、90度にしますとこの接触圧力も大きくなります。
Oリング(オーリング)の場合、一般には硬さ70度が使用されています。
しかし、用途が固定用と限定されますと、硬さを90度にすれば接触応力が大きくなり密封機能が良くなります。
また運動用では、密封機能と同時に抵抗力が大きくなると困る場合もあるので、標準的な硬度である70度を使用します。

つぶし代の計算

この接触圧力はつぶし代と呼ばれ、つぶし率で計算されます。
Oリング(オーリング)の太さ=d2mm、溝深さ=Hmmとします。Oリング(オーリング)の太さと溝深さの差異が、つぶし代となります。
このつぶし代をOリング(オーリング)の太さで割った値がつぶし率といい、%で表現します。

JIS B 2401では「Oリング(オーリング)」用の溝寸法が決められています。
このつぶし率はOリング(オーリング)の太さにより異なりますが、約8~30%確保することでシール機能が発揮されます
Oリング(オーリング)の太さが小さいほうが大きなつぶし率が推奨され、30%を超えるつぶし率は応力亀裂などが生じる場合があるので望ましくありません。

シールを使用する際の注意事項

これまで紹介してきた通り、シール材・シール部品は消耗品ではありますが、工場や日常生活において重要な役割を担っています。

そんなシールですが、注意事項があります。
それは異物をシール設置箇所(溝)に挟み込まないことです。ゴムは特に顕著ですが、溝に前回使用していた際に固着したゴムや流体の他、鋭利な鉄の破片などが残留していると、上手く馴染んでくれないことがあるためです。

メンテナンス時に十分注意いただくよう、お願いいたします。

終わりに

以上がシール基礎編です。
シールをご使用の際には、各種使用条件に応じたシールを選定しないと重大事故にもつながりかねないため、注意が必要です。

文字だけでは理解しきれないところもありますので動画を合わせてご確認ください。

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