ガスケットとは?
2022.02.17
シールの役目
ガスケットについて知る前に、「シール」について知る必要があります。
JIS(日本工業規格) B 0116によるとシールの定義について、下記の記載があります。
流体の漏れまたは外部からの異物の侵入を防止するために用いる装置の総称
例えば配管と配管の接続部など、流体が漏れてしまう箇所の密封装置としての役割を果たしています。
一部シール材を除き、漏れゼロを要求されることが基本項目となります。
「パッキン」と「ガスケット」の違いは?
シール材は「パッキン」と「ガスケット」の2つに大きく分類することができます。どちらも同じ密閉用のシールですが、使用箇所が異なります。
- パッキン=運動用・動く箇所
- ガスケット=固定用・動かない箇所
機能的にはどちらもシール材には変わりはなく、使用される場所によって言い方が変わるだけです。
実際には、パッキンもガスケットは明確に区別されることなく使われていることが多いです。
例えば、Oリング=パッキンとして認識されることが多いのですが、
Oリングは使用用途によってパッキンともガスケットとも呼ぶことができます。
またメーカーやお客様によっては、運動用のシール材をガスケットと呼んだり、
固定用ガスケットを「フランジパッキン」と呼んでいるケースもあります。
しかし「フランジパッキン」の例では、正確にはフランジ「ガスケット」と呼称されることが望ましいです。
このブログをお読みいただいた方にはお判りかもしれませんが、
なぜなら、フランジは運動用・動く接続部品ではないからです。
「ガスケット」とは?
それでは固定用途のガスケットについて、詳しくみていきたいと思います。
ガスケットはボルトや専用器具にしっかり固定されて、気密性や液密性を保つ役割があります。
一口に「ガスケット」といっても様々な材質があります。
以前は、アスベスト(石綿)を問答無用で材質選定しても、
生産稼働上に問題無く使用できたケースがほとんどでした。
というのも、アスベストは耐熱性/耐薬品性/耐摩耗性/絶縁性など、
シール材に要求される項目を十分に満たすことができる材質だったからです。
しかし、人体に深刻な健康被害が及ぶことが原因で、
平成18年9月より重量0.1%以上の含有製品の製造など禁止されました。
現代ではアスベストには代替材質がないため、様々な材質から適切な選定を求められます。
▽ガスケットの材質・種類
ガスケットの材質・種類
ここからは、ガスケットの種類別に詳しく見ていきましょう。
- ジョイントシート
- ゴム
- PTFE(フッ素樹脂/テフロン™)
- メタル
- ワッシャー
- 液状ガスケット
- テープシール
無機繊維・無機充填剤・ゴムなどを配合した、アスベスト非含有の材質です。
ガスケットの材質では、最も代表的と言えます。
安価で汎用性や入手性の高さが特徴的です。
あたジョイントシートメーカー各社で豊富なラインナップを有していますので、
様々な環境での採用を検討することが可能です。
静的箇所に使用される場合、Oリングもガスケットと呼ぶことが可能です。
小さい締め付けトルクでも効果を発揮します。
バイクでは、キャブレター本体(上部)とフロートチャンバー間、サーモスタットケースとカバー間に使用されています。
Oリングはへたると機能しなくなったり、劣化による燃料漏れするので要注意です。
装置を分解したら毎回新品のものに交換する必要がありますので、万が一に備えてOリングセットを購入しておくと安心です。
PTFEは樹脂製のガスケットです。耐薬品性や耐熱性を求められる箇所に使用され、入手性も良いです。
ただし熱による影響を受けやすく、金属の10倍程度数値が異なります。
保管時の温度管理が求められ、製作・加工時には一定の温度帯に保った環境にする必要があります。
メタルガスケットは金属系のガスケットです。
主に圧力・温度の高い箇所のシールに適しており、バイクにはシリンダヘッドに使われています。
銅やSUSなど様々な材質がガスケットに採用されています。
メタルガスケットは繰り返し使用することができないので取り外した場合は毎回新品に交換しましょう。
機械部品として使用されるワッシャーに多いのは、銅ワッシャー・アルミワッシャーです。
柔らかく潰れやすい銅やアルミが良く使用される材質です。
銅ワッシャーを装着したら液漏れがないか確認して、変形してしまったら必ず交換しましょう。
ホームセンターでも販売されているので、変形したワッシャーを持っていきサイズを確認して購入しましょう。
液状ガスケットはガソリンや排気漏れ予防のために極少量塗布して使用できます。
シリンダヘッドの固定ボルトの締め付けトルクを許容範囲内で最大まで締め付けて使用します。
テープシールは気密性・液密性を保つため、部品や配管など静止している部分に使用されます。
そのため、ガスケットを選ぶ際には材質の特徴をよく抑えた上で材質を選定する必要があります。
まとめ
ガスケットは目的に合わせて適切な材質を選ぶことが大切です。ガスケットの材質によっては、各種機器の劣化を早めたり、溶けてしまう可能性があるのです。
以下リンク先では、ガスケットの選び方やガスケットメーカーの解説など、より深くガスケットについて知って頂けます。
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