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シールとメンテナンス(1)

■発行日:2018年8月1日発行  NO.03-54

新シール概論(2)シールとメンテナンス(1)

 

今月号から少しシール製品から外れてシールとメンテンナンスの観点について説明いたします。

 

1. はじめに
私事ですが、現在築20年経過した戸数50程度の中規模のマンションで生活しています。同所に設置されている屋内消火栓ポンプに不具合が発生して更新が必要となりました。消火ポンプは設置から20年で実際に作動させたのは、20年間に2回だけであった。修理可能であるのかを、ポンプメーカに確認すると20年前のポンプでの部品供給がなく、代替品も見つかったとしても錆の固着がひどくオーバーホールもできないとの回答があり、どうも新設以外に手段が無いことが判明しました。価格が約300万円と高額です。このことで、将来のことも配慮して定期的なメンテナンスによる寿命を長くすることが大切であることを痛感した次第です。
以下の内容は、2011年に筆者がPlant Engineer(雑誌)に記載したものに加筆したものである点を先に断っておきます。

 

2. メンテナンスについて
ここでは、油空圧機器類のメンテナンスに関して、シール製品の観点から説明します。
油空圧機器には、その機能を果たすための重要な部品として、シール製品があります。
しかしながら、シール製品はいずれにしても大半が化学製品であり、化学反応が起こり、時間とともに劣化します。また運動部分では摩耗などにより、その機能を著しく損ない機器が作動しないなどの事態が発生します。
従って、メンテナンスをし、定期的にこれらシール製品を交換しなければなりません。シール製品をどうように交換すべきか、またそれら機器に使用される流体や潤滑剤についても注意すべき事項もあるので、これらも併せて説明します。

 

システムとしての考え方
油空圧機器は単体で稼働させるより、一種のシステムとして作動しているのが通常であり、そのシステムの管理が重要です。以下のJIS規格が発行されている。
JIS B 8361「油圧システム通則」
JIS B 8370「空気圧システム通則」
これらの規格は、それぞれの機器のシステムを詳しく規定しているものです。
すでにこれらにのっとって運営していることと思われますが、工場管理者や設備管理者はとくに参考にしてもらいたい。
油圧システム通則は、「工業の製造工程において用いられる機械設備の油圧システムについて、規定し、次の事項を確保するために供給者及び購入者の両者が従うべき指針を規定しています。

  • 1) 安全
  • 2) 故障及び事故のないシステムの運転
  • 3) 簡単な経済的な保守
  • 4) システムの長寿命化

と記されています。

(続く)

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