シールとメンテナンス(2)
2018.09.01
■発行日:2018年9月1日発行 NO.03-55
新シール概論(2)シールとメンテナンス(2)
2. メンテナンスについて(続き)
この規格では、シール及び密封装置に関しては次の項目を規定しています。
- 1) 材料:シール及び密封装置の材料は、使用する作動液、隣接する材料及び作動条件並びに環境に適合するものでなければならない。
- 2) 交換:機器の設計は、シール及び密封装置の点検並びに交換が容易に行えるようにしなければならない。
空気圧システム通則も、ほぼ油圧システム通則と同様です。
3. シールメンテナンスの役割
油圧機器のメンテナンスの基本は、その機器が問題なく稼働できることを継続するための手段であり、設備保全は、モノづくり企業にとって重要な役割の1つです。
現在では、トラブルが発生してから修理するという考え方でなく、事前に保全する計画保全が当たり前になっています。油空圧機器類のメンテナンスの時期は、機器メーカーから明確に知らされているものではないと思われます。その理由は、使用される状況(環境、頻度を含むあらゆる諸条件)により変化するものであり、断定できないためです。従って、使用者側での実績などに基づくデータからメンテナンスの時期を決めなければなりません。
自動車のように定期検査と部品交換の時期を決めている状況とは大きく異なります。
設備トラブルの約30%前後が、潤滑トラブルと言われています。しかも、メンテンナンス時代と言っても各企業では保全人員の確保が難しく、なおざりになる傾向もところどころに見られるのも事実です。設備は稼働(作動)して当たり前で、故障すれば保全が悪いのだと言われ大変な仕事ですが、メンテンナンスなくして設備は稼働しないという意識を皆に知らせることも大切です。
油圧システムでのトラブルは
- 1) 制御機器(電磁バルブなど)の作動不良
- 2) ポンプの吸込み不良
- 3) 油漏れなど
があります。
これらトラブル原因の大半は、シール不良による油漏れとコンタミであり、油圧システムの保全はコンタミのコントロールの実施するかにかかっていると言っても過言ではありません。コンタミの種類として
- 1) 塵埃(外部からの侵入)
- 2) 水分(凝縮水、クーラント混入)
- 3) 他油(衝動面油、切削油、防錆油など)
- 4) 摩耗粉(洗浄不足、潤滑不足、給油不良により発生)
- 5) スラッジ(作動油の劣化生成物及び外部からの混入物によるスラッジ生成)
などがあります。
(続く)
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