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シールとメンテナンス(7)

■発行日:2019年2月1日発行  NO.03-60

新シール概論(2)シールとメンテナンス(7)

 

6. 使用者でのシール保管条件(続き)

  • 5) オゾン:オゾンは、シール製品に大きな影響を与えるので、貯蔵室には、オゾンを発生させるような装置(水銀蒸発灯、スパークや放電を起こすような高電圧装置)を入れてはならない。
  • 6) 変形:シール製品の包装はできる限り製品に応力が掛からないようにしてあるので、その包装形態で貯蔵しなければならない。大口径のOリングは、折り目やねじれを避けるために、最低3重以上のループにすること(2重は禁止)
  • 7) 流体やグリースとの接触:シール製品は貯蔵中に流体やグリースやその蒸気に接触させてはならない。
  • 8) 金属との接触:ある種の金属や合金(特に銅、マグネシウムなど)はシール製品に悪影響を及ぼす場合があるので、接触させないように貯蔵すること。また、金属とシールをペアで貯蔵する場合には分離して保管する方がよい。
  • 9) 異なる他のゴムシール製品との接触:異なる製品と接触させてはならない。また同じ袋内にも入れてはならない。同じ材料でもサイズが違うものは個別の袋に入れること。
  • 10) 在庫ローテーション:シール製品は先入れ先出しの原理で管理しなければならない。

7. ゴムシール製品の貯蔵期間について
前項に示した条件で保管した製品にも有効な貯蔵期間があります。この場合の有効な貯蔵期間とは、購入した時点からの期間ではなく、ゴムシール製造されてからの期間を言います。(シールメーカーでは、ラベルに製造年月を記載しています)
この貯蔵期間については、シールメーカー各社の推奨する期間が統一されていないのが現状です。まだ、JIS化されていないが、規格のISO 2230 Rubber products-Guideline for storage が参考になります。この規格のゴム別の保管期限を表1に示します。

 

表1 ゴムシール製品の保管期限(ISO 2230)
ゴムグループ 初期 延長
A) NR、SBR、AU/EU 5年 2年
B) NBR、HNBR、ACM、CR、IIR 7年 3年
C) EPDM、FKM、VMQ 10年 3年

なお、表1の初期とは、ゴム製品が製造されてからの期間で、また延長とは初期の期間経過後、製品を検査して表面にクラックなどの劣化が認められない場合のみ延長できる期間です。(但し、再度の延長はできません)
ゴムグループの名称は、規格JIS B 6397「原料ゴム及びゴムラックスの略称」でNR(天然ゴム)、SBR(スチレンブタジェンゴム)、AU/EU(ウレタンゴム),NBR(ニトリルゴム)、HNBR(水素化ニトリルゴム),ACM(アクリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、FKM(フッ素ゴム)、VMQ(シリコーンゴム)です。

(続く)

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