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シール用ゴムの摩耗について(3)

■発行日: 2011年8月1日発行  NO.02-36

新シール概論(36)(特別号)

シール用ゴムの摩耗について(3)

通常、ゴムOリングはフランジ部に固定用のシールとして多く使用されています。そのメリットは偏にその利便性にあると言えます。

フランジ用Oリング(内圧用)図
図 フランジ用Oリング(内圧用)

溝構造が簡単で、スペースも小さいなどがあります。しかし、全く問題なく使用されていると言えばそうとは言えない状況にあります。その理由は

  1. 圧力の高圧化
  2. 圧力サイクル(脈動)

 などがあります。

そのためには、ボルトのサイズアップやボルト材料の変更など対応しているようですが、解決しないこともあります。

一方法には、フランジ用のバックアップリングを新たに併用する考え方もあります。はみ出し対策にはなりますが、Oリングの耐久性が悪いとの結果も出ています。やはり形状からくるOリングが円いことから圧力のサイクルにより、どうもころがりが生じていることにその真の原因がありそうです。

詳しくはOリングシールの場合,シール溝の中で圧力の変動と共に変形し,シール溝の隅までOリングは流動して流れ込み,また圧力が無くなればOリングの位置,変形は元の状態に復元します。このOリングの動きが外径側に移動するとき,背圧側の空気,油膜等はポンピング作用で外部に押し出される。さらに,このOリングの移動はOリングそのものの摩耗にもつながり,油,空気に混じって摩耗分が外部に押し出され,にじみと見られる現象になるようです。

特に、ドイツではその研究も進んでおり、高圧のフランジ用の箇所にはOリングの代わりに角リング(ゴム)が使用されています。

日本フルードパワー工業会のシール委員会で実験したことがあります。(相当以前ですが)
角リングとOリング両方の耐久試験を行い、評価を行いました。結果として,Oリングは溝の外周から放射状にゴムの摩耗粉,および油膜が噴き出してフランジ面に付着する現象が見られ,角リングでは,外周の隅部のゴムがフランジ面に線状にあたりのついた程度で,全く異常が見られませんでした。(詳細は次号に)

そのOリングの状態を下図に示します。
耐久試験の状態(Oリング)

(続く)

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