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シール用ゴムの摩耗について

■発行日: 2011年6月1日発行  NO.02-34

新シール概論(34)(特別号)

シール用ゴムの摩耗について

常時、脱線しますが、シール用ゴムの摩耗について、説明いたします。

シール用ゴムは運動用に使用する場合には、摩耗による寿命がいつも気になるものです。
しかしながら、シールメーカーも寿命については、保証することが出来ないのが現状でしょう。その理由はシール用ゴムでの摩耗に関しては、関連する条件が多過ぎることも要因になっています。

この要因を見ていきますと(往復動用で見ています)

  1. 使用する流体の圧力
  2. 使用する流体
  3. サイクル数
  4. ストローク長さ
  5. 相手面の材料(材質、硬さ、表面粗さ
  6. ゴム材料の特性
  7. シールの形状
  8. 潤滑状況(流体の使用でない場合)
  9. 温度

などがあります。それらの組み合わせが如何に多いかお分かりでしょうか。

次に、ゴム単体の摩耗に関しては、また多くの試験方法があります。ここの関連も明確でないので、相対比較となるようです。
このゴムの摩耗試験方法には、次の規格があります。

JIS K 6264-1:2005 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-耐摩耗性の求め方―第Ⅰ部:ガイド
(この規格は、ISO 23794:2004 Rubber, vulcanized or thermoplastic -Abrasion testing -Guidance を翻訳したものです。)

このJISでも試験機が13種類もある状況です。特にこの分野多く使用されている試験機が規定されています。

次にこれらの試験方法は次のものです。

JIS K 6264-2:2005 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-耐摩耗性の求め方―第2部:試験方法です。しかし、この規格では6種類の試験機についてのみ規定しています。

6種類には、DIN試験機、ウイリアムス試験機、アクロン試験機、改良ランボーン試験機、ピコ試験機、テーバー試験機です。

ここの内容を紹介と思いましたが、あまり専門過ぎて面白くありませんので、有名な一部のみに致します。(後述)

くどいようですが。前述ましたように、相対比較ですので、ある試験機で実施した結果は、あくまでその条件での優劣差を示すものです。

昔ですが、ゴムの摩耗を独自の試験機を作成して、ゴム材料の改良に使用したことがあります。少しこのことに触れておきます。
大きく見ますとゴムの摩耗は、原則として、面圧(シールの場合には、Oリングの場合にはつぶし代、リップシールの場合にリップのはり代が面圧に相当します)と速度とサイクル数(摺動距離に相当)を定めて行いました。(続く)

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