その他のシール製品(樹脂製オイルシール)(2)
2017.12.01
■発行日:2017年12月1日発行 NO.03-46
新シール概論(2)その他のシール製品(樹脂製オイルシール)(2)
では樹脂製オイルシールについて見ていきましょう。三菱電線工業株式会社のカタログを紹介します。
1. 樹脂製オイルシールとは
シールエレメントに特殊充填剤入りPTFEを使用した回転軸シールです。このシールエレメントにハイドロダイナミック溝などの特殊な加工をすることにより、ゴム製オイルシールでは使用できなかった過酷な条件下での使用が可能となっています。
注)ハイドロダイナミック溝とは、軸に当たるPTFEのリップ部に特殊な切込み溝{形状が螺旋溝の場合,漏れた流体を押し戻す(逆流させる)というハイドロダイナミック効果が得られ,低圧側への流体漏れを完全に防止できます。}
図4に断面図を示します。
図4 特殊樹脂製オイルシール(ハイドダイナミック溝の一例)
2. 特徴
- -60℃から+200℃までの広範囲な温度で使用可能
- 高速運転性能に優れ、条件によっては最高55m/sの周速でも使用可能
- 自己潤滑性を持っているため、摩擦抵抗が少なく、耐摩耗性に優れている
- ゴム製オイシールと比較して、耐圧性能、耐ダスト性能に優れている
- ハイドロダイナミック溝デザインは、耐久性に優れ、軸偏心に対する追随性が良好
3. PTFEの材料
PTFEは用途別により、特殊充填材が使用できる。一例ではカーボン繊維入り+特殊配合のPTFEなどがあります。
4. 実際の採用されている使用条件例
樹脂製オイルシールの形式は異なります。
1) スクリュータイプコンプレッサ
- 軸径Φ20~24mm
- 回転数3,000~35,000rpm
- 流体 エンジンオイル、空気
- 圧力 -0.07~0.1MPa
- 雰囲気温度 -40~150℃
2) クランクシャフト
- 軸径Φ50~200mm
- 回転数700~9,000rpm
- 流体 エンジンオイル
- 圧力 0~0.03MPa
- 雰囲気温度 -40~150℃
3) カーエアコン用コンプレッサ
- 軸径Φ12~15mm
- 回転数500~12,000rpm
- 流体 冷凍冷媒(ガス+オイル)
- 圧力 0.1~1MPa
- 雰囲気温度 -40~150℃
(続く)
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