一覧に戻る

その他のシール製品(樹脂被覆Oリング)(1)

■発行日:2017年7月1日発行  NO.03-41

新シール概論(2)その他のシール製品(樹脂被覆Oリング)(1)

 

1. 樹脂被覆Oリングとは
反発弾性のあるゴムOリング(材料はFKM,VMQ)をフッ素樹脂(FEP、PFA)で完全に被覆した構造の複合Oリングです。
図1に各種の断面形状を示します。

図1 樹脂被覆Oリングの断面形状
図1 樹脂被覆Oリングの断面形状

 

ゴム製シールが使用できない各種薬品にも侵されません。固定用として使用されます。

 

2. 樹脂被覆Oリングの経緯
ご存知のPTFE(四ふっ化エチレン樹脂)は耐薬品性に優れていますが、ゴムのような弾性が無く、しかし、シール材料として魅力のあるもので、何とかゴムOリングでPTFEを使用したいという願望がありました。
最初には、PTFEを切削加工してOリングを作り、使用して事例もありましたが、PTFEの特徴であるクリープで、漸次弾性が失われてシール性能が落ちました。(実際には、まだ使用されている例はありますが。)

 

次に考えたのは、PTFEのコーティングをすれば、良いのではないかということで、試験しましたが、コーティングではポーラスのため、耐薬品性は期待したほどないことも分かりました。
この製品は、運動用でない用途では、装着性を改良することができるので、(自動組み立てなど用途で)、現在でも使用されています。

 

次に検討されたのは、PTFEをゴム弾性を持つゴムにしたものです。これが、パーフロロエラストマーです。(耐熱性も耐薬品性にも優れています) ただし、ゴムの世界では異常に価格が高いので、用途が限定された使い方をされています。

 

他方、PTFEでは、難しいのですが、フッ素樹脂の仲間であるFEP(四ふっ化エチレン・六ふっ化プロピレン樹脂)やPFA (四ふっ化エチレン・パーフロオロアルキルビニルエーテル樹脂)を使えばチューブが容易に加工できるので、これとゴム製Oリング(形状ではOリングや中空形、角リングも含めて)を組合せるとの考え方が生まれてきました。かつこれら溶融樹脂では融着加工も可能であることから開発されました。

 

よく製品を見るとゴムリングは合わせ目が若干見えます(ゴムは押し出し品で、所定長さに切断しているだけで、接着はされていません。大半のものがこの範疇にあります)。
また、樹脂も融着加工しているので、繋ぎ箇所が存在しています。
樹脂の肉厚は、メーカにより異なりますが、約0.2から0.5mm程度が多いようです。なお、図1では、通常は標準型で、中空形や角形は特別品となります。

(続く)

お問い合わせフォーム

 

個人情報保護方針