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その他のシール製品(樹脂被覆Oリング)(2)

■発行日:2017年8月1日発行  NO.03-42

新シール概論(2)その他のシール製品(樹脂被覆Oリング)(2)

 

3. 樹脂被覆Oリングの特徴

  • 1)大半の薬品、溶剤に侵されず、優れた化学抵抗性があります。
    ただし、フッ素樹脂で使用できない
    ものには、溶融アルカリ金属又は高温・高圧下のフッ素化合物などがあります。
  • 2)使用温度では、例えば、-60℃から200℃であれば、FEPとVMQの組合せで、-20℃から200℃であれば、PFAとFKMの組合せが適用です。
  • 3)使用可能な圧力はBURなしでは、7MPa程度となります。
  • 4)用途は、基本的には固定用ですが、非常に低速な場合の運動用にも使用可能です。
  • 5)使用条件によってはフッ素樹脂を透過し、ゴムOリングを膨潤することや、劣化させる可能性はあります。
  • 6)全体の硬さはゴム硬さ85から90タイプAデュロメータ程度です。

4. 樹脂被覆Oリングの製品寸法と溝寸法
各社のカタログを参考に使用してください。
各社の仕様には、JIS B 2401-1 Oリングサイズも含まれています。
ただし、溝寸法は、独自になっている場合もありますので、注意ください。

5. 樹脂被覆Oリングの使用方法
複合シールなので、次の注意が必要です。

  • 1)平面用(フランジタイプ)では、通常のOリングと大差はなく、容易に装着できます。
  • 2)ピストン・ロッドの場合は、分割溝にしてください。
    通常のOリングと同様にピストン側溝にするときは、チューブの端部に、また、ロッド側溝にするときはロッドの端部に所定のテーパを設けてください。(図2参照)
    またできれば、樹脂被覆Oリングを60℃以下の温水に数分間浸し柔らかくしてから装着することが好ましい。
    無理に装着すると樹脂部に割れ目や折り目が付くことを防止するためです。 図2 端部の構成と端部テーパの寸法
    図2 端部の構成と端部テーパの寸法

 

  • 3)樹脂被覆Oリングの再使用は好ましくありませんので、避けてください。

 

6. 樹脂被覆Oリングの主たる用途
前に説明したように耐薬品性を重視した用途が主ですが、装置としてはフィルタ、シリンダ、バルブ、ポンプ、ミキサ、オートクレープ、メカニカルシールの固定部などがあります。

 

7. 参考事項
ゴム材料にVMQを使用するとOリングのつぶし力が小さいので、ガラス製の化学容器やフランジ用シールとして優れています。

(続く)

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