フラクトグラフィについて(1)
2014.01.01
■発行日:2014年1月1日発行 NO.02-65
新シール概論(65)(フラクトグラフィについて)
1 はじめに
皆様は表題の言葉はご存知でしょうか。
英語で書きますと「Fractography」となります。通常破面学とも言われることがあります。
機械部品や構造物が破壊によって損傷した場合、その破面には破壊発生のはじめから最終破断に至るまでの、破壊の過程の痕跡が全て残されています。
従って、これらを調査することにより、破壊の機構、あるいは、原因に関する情報が得られることができます。
この破面解析をフラクトグラフィと呼ばれています。
しかし、これらの歴史はあまり古いものではなく、特に高分子材料については、まだまだ深く追求されていない状況だと思います。
考えてみますと、破損したものを観察して、使用状況と照らし合わせて、破面の状況との総合判断する一つの品質的な、また、トラブル究明の手段としては案外有効な方法です。
シールの場合も以前に説明したことがありますが、トラブル品を良く観察することにより、過去のトラブルと類似のものがあれば、そのパターンと比較することの一環であると思ってください。
金属の場合には、非常にこの分野は進んでいるようです。特に、最新の分析機器類の進歩とともに破面を鮮明な見ることが出来るようです。
それら機器類には
- 透過型電子顕微鏡(TEM)
- 走査電子顕微鏡(SEM)
などで、ミクロ的、マクロ的に表れる破面を分類して、その代表に名称をつけて分かり易くなっています。
これらの一種の現れるパターンの名称は次のゴムや樹脂の破面での解析にも同様な分類や呼び方がされています。
これらの代表的なものを下図に示します。
疲労破壊による破面の例(マクロ的解析)です。資料は東京都市大大学の工学部のものを引用しています。
(続く)
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