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樹脂材料について14

■発行日:2011年12月1日発行  NO.02-40

新シール概論(40)(樹脂材料について)

1.シール用樹脂材料(続き)

6-2)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(続き)
通常、PEEKのような剛性の高い樹脂をシール(OリングやUパッキンなどの)のバックアップリング(BUR)として使用する場合には、次の事に注意する必要があります。BURとしてPTFEが使用しているのは、シールを介して伝わる圧力により変形することにより、シールを保護しています。この点ではPTFE はよく言われるクリープし易いため問題だと思われますが、この特性が実に有効に使用しているのです。
他方、この点ではPEEKは変形が起こり難い剛性の強い(クリープし難い材料)ので、PTFEのように変形しないので、すきまを埋める能力に欠ける点です。
逆にPTFEのBURでもはみ出すような高圧には使用可能であると言えます。
ただし、前述したように変形し難いので、シールがPEEK(BUR)と相手面のすきまではみ出すが、傷が付く可能性があります。
ではどうすればよいかと言えば、BURの高さ方向(下図のW)の公差をPTFEより厳しくすることとシールと接する角部には糸面取り程度の面取りをすることです。
(図1参照)
またできれば、シールのすぐ後に変形し易いPTFEのBURを一枚挟んでPEEKのBURを使用する方法もあります。
(図2参照)
コスト的にも高くなり、スペースも大きくなりますが、高圧仕様には向いているので、使用されています。

図1
図1 BURの使用

図2
図2 BURの2枚使用

 

樹脂の特性の圧縮強さを見ておけば、BURとして使用した場合の変形度合いが解ります。
BURの使用の目的はシールを保護して、はみ出しと傷を付けないことですので、このような事項に注意が必要となります。
使用できるBURの形状はエンドレスとバイアスカット及びコンケイブタイプ(シール対象はOリングのみ)で、スパイラルは加工はできません。
その他、PEEK材料がシールとして利用できるシール製品には、スプリング補強樹脂Uリングなどもあります。
(続く)

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