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新JIS規格について(4)

■発行日:2012年4月1日発行  NO.02-44

新シール概論(44)(新JIS規格について)

1.新JIS B 2401のシリーズの紹介(3)

1.2 JIS B 2401-2 Oリング‐第2部: ハウジングの形状・寸法について紹介します。まず、従来のP,Gのハウジングは変更ありません。

なお、強いて苦情を言えば、運動用ではISOシリーズのハウジングで示されているように油圧用、空気圧用として区別されていません。相当以前から、運動用(P)用のハウジングを空気圧用に使用すると抵抗が大きく、寿命も短いとの苦情が多くありました。そのため、空気圧機器メーカでは独自にハウジングを規定して使用されていました。

このような事情を理解して今回の大改正する時に配慮してもらえばよかったのではないかと感じました。

またOリングの使用する場合の設計理論があるはずです。ISOシリーズではその理論を展開することにより、ハウジングを決める手段を講じている点は理想的であると言えます。

例えば、ピストン用、ロッド用、また油圧用・空気圧用(運動用、固定用)及び平面用と各用途別にハウジングを決めていることです。JIS B 2401の思想とは合い入れない事情がありますが、理論武装が不十分であることは明確です。つぶし代の定義やOリングの引き伸ばしによるOリングの細りなどを従来のOリングについても説明があってもよかったような気がしました。

特にISO Oリングでは引き伸ばしによるOリングの細り代を配慮しています。

または装着性を考慮した設計ができているなど評価できる点が大きいと言えます。

余談ですが、米国の唯一のOリングの規格であるAS568については、非常にきめ細かい設計思想が展開されています。

  • ARP1231: Gland Design, Elastomeric O-ring Seals, General Consideration
  • ARP1232: Gland Design, Elastomeric O-ring Seals, Static Radial
  • ARP1233: Gland Design, Elastomeric O-ring Seals, Dynamic Radial, 1500psi max
  • ARP1234: Gland Design, Elastomeric O-ring Seals, Static Axial, Without Back-Up-Rings
  • AS 4716 Gland Design, O-ring and other Elastomeric Seals
  • AS 4873 Gland Design, Elastomeric O-ring Seals, Static Radial and Face 800psi maximum Service
  • AS 5857 Gland Design, O-ring and other Elastomeric Seals, Static Applications

などがあり、用途別にきめ細かく、シール設計を展開してハウジングを決めている点はさすがだと感心します。このような展開が、使用者には安心して使用し易いことになります。

少し、違う方向で説明しましたが、筆者の考え方を述べさせてもらいました。
やはり最近ではシール全般についてもその設計思想が問われる時代です。

(続く)

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