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耐薬品性のシールについて(1)

■発行日:2020年10月1日発行  NO.03-80

新シール概論(2)耐薬品性のシールについて(1)

 

今回は少し横断的に耐薬品性のシールとの観点で説明いたします。
まず、各種のシールがありますが、名称から耐薬品性ということで、言われているシールは少ないと思います。それらの展開は後程として、材料面で見れば、あります。

 

代表的のものにはフッ素ゴム(FKM)があります。またパーフロロエラストマー(FFKM)やエチレンプロピレンゴム(EPDM)も加わります。また樹脂の仲間ですが、四ふっ化エチレン樹脂(PTFE)などは代表的なものです。

 

それらの総合的に見れば、順位はPTFE,FFKM,FKM,EPDMと考えても良いかも知れません。しかし、実際面で見れば、やはり全ての薬品に耐性があるものは、無く、長所も短所もあるのは、事実です。

 

例えば、良く言われている耐薬品性のあるFKMでもアルカリ性薬品に耐性が無いこともあり、またEPDMは逆にアルカリ性に対して耐性がありますが、耐酸性には問題があります。
しかし、FFKMでも問題のある薬品もあるので、適材適所に応じた対応が求められます。これらについては以前に説明いたしましたので、参照ください。

 

では、代表的な耐薬品性をタイトルしているシール例を見ていきます。
それは、PTFE(他の同じ系統のFEP,PFAなど含め)を基本的にメインとしたシールになります。

  • (1) Oリングがあります。大昔ではPTFE製のOリングがありましたが、現在ではその材料の持つ欠点であるクリープ特性で寿命の観点で、使用されなくなりました。
    いまでも時々その名残があるのも事実です。
    なお、このOリングにPTFEでコーティングしたものは現在でも使用されています。目的は装着性をより容易にする目的ですが、基本的には薄い皮膜のために耐薬品性はあまりありません。かつ運動用には向かないこともあります。
  • (2) 樹脂被覆Oリングがあります。
    図1 樹脂被覆Oリング
    図1 樹脂被覆Oリング
    図1に示すように全体を樹脂(この場合の樹脂はFEP,PFA)でゴムを被覆したものです。 実際には流体と接するのはこの被覆した樹脂であり、この樹脂に耐える全てのものに使用できることになります。使用されている内部のゴム材料は、FKM,MVQの2種類であり、あまり耐薬品性を配慮する必要がないのですが、使用される温度で低温の場合にはMVQとなりますが、通常はFKMが一般です。

(続く)

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