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特別号 気体とシール(2)

■発行日:2020年6月1日発行  NO.03-76

新シール概論(2)特別号 気体とシール(2)

 

前号で、ガス透過量の計算式を示しましたが、詳しく見ていきます。
透過量=Q、圧力差=△P=(P1-P2)、ゴム(シール)の透過係数=P、シールの長さ(幅)=L、シールの面積=A 時間=t 溶解度=S 拡散係数=D とすると

  • (1) 式 P=S×D
  • (2) 式 Q=P×(△P×A×t)/L

(2) 式で分かるように、透過量はシールの幅以外は正比例の関係になります。
従って、透過量はシール面積が大きく、ゴムの透過係数が大きく、時間が長ければ当然増加することになります。
なお、注意すべきは、下表に示すように、温度に依存している点です。温度が上昇すれば、透過係数は増加します。Oリングのようなシールでは、つぶし率を上げれば、上図のシール面積Aが小さくなるので、透過量は減少します。またゴムの硬さも増すと経験上透過量は減少します。また気体の種類により、異なります。
このことは、気体(ガス)の分子量の大きさにも影響しますが、二酸化炭素は以上に大きな透過係数を示しますのは、他のガスに比べて溶解度が大きいためです。
またゴムの種類の中では、VMQ(シリコーンゴム)が異常に大きな透過係数を有している点に気をつけてください。

表1 ゴムの各気体に対する透過係数
ゴムの種類 温度(℃) He H2 N2 O2 CO2
NBR-18% 25 1.94 48.0
50 6.97 120.0
NBR-27% 25 9.3 30.5 0.81 2.94 23.5
50 23.4 74.0 3.58 10.5 67.9
NBR-39% 25 5.2 0.18 0.73 5.67
50 14.2 1.08 3.50 22.4
CR 25 12.1 0.89 3.0 19.5
50 33.7 3.55 10.1 56.5
IIR 25 6.4 5.4 0.25 0.99 3.94
50 17.3 17.0 1.27 4.03 14.3
EPDM 30 10.3 6.4 19.0 82.0
FKM 30 28.5 0.33 14.5
60 5.5 2.9 116.0
AU/EU 25 17.2 0.37 13.5
50 1.81 48.4
VMQ 20 200 400 1600
50 570 280 500 1550

透過係数:単位 10-8 cm2 sec-1 atm-1.
文献:Amerongen Rubber Chemical,Technol 37,1065(1964)アレンジ分

(続く)

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