密封理論について(1)
2013.04.01
■発行日:2013年4月1日発行 NO.02-56
新シール概論(56)(密封理論について)
シールの密封理論について
1.まえがき
前回までシールのFEMについて説明してきましたが、なぜシールが漏れを止めることが出来るかの理論を説明いたします。
ただ、理論となれば、難しいと思われるかもしれませんが、このシール概論ではそのような展開はしません。
あくまで、シールは漏れを止めるかを最初にOリングから話に入り、少し最近の文献や本からを参考にしながら、説明をしたいと思っています。
2.Oリングの密封理論
何時も、説明していますように、Oリングがハウジング内でつぶしを与えることにより、接触圧力または応力(反発力)が発生します。(前回までのFEMでも紹介したとおりです)
下図はその状態を示しています。
Oリングの密封機構
太さd2が溝深さHで圧縮されています。
これがつぶし代を与えることになります。
当然、接触圧力を上げる手段には、つぶし代を増加する(溝深さを浅く)か、ゴムの硬さを上げることで出来ます。
図のように右側から圧力のない流体が来た場合には、この接触圧力(P´)が壁となり、漏れないことになります。
次に圧力が掛かった場合の図は次のとおりです。
先ほどと異なるのは、接触圧力に掛かる圧力が加わる点です。従って、加圧された流体は漏れないことになります。
このことをシールの自封性と言います。
Oリング以外でのシール類(Uパッキン、Xリング、Tリング、組合せシール)も大半はこのような自封性を用いています。
この自封性を理論で説いたものがありますので、紹介します。文献は以前説明しましたFluid Sealing Technology Hydraulic Seals (著者:Heinz K Müller)を使用します。
(続く)
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