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冷凍機用冷媒関連について(3)

■発行日: 2013年12月1日発行  NO.02-64

新シール概論(64)(冷凍機用冷媒関連について)

3 新冷媒について

最初に述べましたように、既に現在使用している冷凍空調機器用の冷媒がいずれ使用不可になることになります。
地球温暖化係数の小さい自然冷媒の見直しや新規の冷媒の探求が続いています。

いち早く、EUでは自動車ではHFC-134aの禁止が決まり、既に新冷媒のHFO-1234yfの使用が開始されています。国内でもこの新冷媒での実験が開始されて実用化に入りつつあります。

このHFO(ハイドロフルオロオレフィン)は化学式を見るとHFCの仲間ですが、従来の代替冷媒と区別するために、この名称を付けるようになったようです。炭素の二重結合があるため、化学的安定性が弱く、大気寿命が11日と短い。以前にNBRの配合内容でブタジェンにも同様に炭素の二重結合があり、耐候性が悪いと説明したこと同じです。

図2.1 HFO-1234yfの分子構造
図2.1 HFO-1234yfの分子構造

化学式はCF3CF=CH2です。
また他にHFO-1234zeもありますが、同じC、F、Hの数も同じですが、分子構造が異なるものです。
図2.1の下方のF原子がH原子になり、右側のCH2がCFHとなるだけです。

他方、大型冷凍機にはHFO-1234yfより、HFO-1234zeが実用化できやすいとの情報もあります。
どうもHFO-1234yfでは既存の設備では、冷凍能力が不足で大流量を流すような大型化しない使用できないとこです。

しかし、まだ今後、すべてを満足できるような冷媒の探求は続くようです。
すでに、臭化カリウム、前から利用されていたアンモニア、イソブタン(家庭用エアコンでは既に採用されている機種もあります。HFC-134aの地球温暖化係数が1300に対してイソブタンは3と低く全くオゾン破壊係数もHFCと同様に0です。)更にもう一度二酸化炭素も再検討されているようです。蛇足ですがイソブタンはR600aと呼ばれこともあります。
二酸化炭素はガスの中でも、透過に関しては、他のガスと比較して飛び越えてゴムへの溶解度が高いことがあり、案外取りつかいが難しいガスです。
前には、同ガスの超臨界での使用により、無害の洗浄剤として脚光を浴びたことがありました。最近の動きは以前ほど活発ではありませんが。

これら冷媒と冷媒油に関しては、シールとの適合性以外にも各種金属類、樹脂などの影響度合いも同時進行で検討する必要もあり、時間とコストも掛かる研究です。

他方、R-32(CH2F2)も最近同様に着目されている冷媒です。いずれにしても代替えが急務になっているので、今後の動向に注目すべき事項です。
(続く)

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