新シール概論(2)固定シール用補助材(1)
2022.01.06
■発行日:2022年1月1日発行 No.03-94
今まで詳しい内容を説明しなかった固定シール用補助材を紹介します。
なお、参考資料は日本規格協会発行の「密封装置選定のポイント」と宗氏の「シールのごくい」などです。
1 全般
固定シールは、管フランジや各種機器接手部に使用され、いかなる環境条件においても、十分なシール特性を維持されることが要求されます。
シール材に使用される工業材料は数多くありますが、要求される諸特性をすべて備え持っているものは一つとしてありません。
従って、その用途・目的・対費用効果等を検討し、諸条件に適合した最適材料を選ぶことがシール材選定のポイントです。また選定された材料の欠点や短所を、設計や使用上の注意事項でどこまでカバーでき、許容できる範囲まで引き下げるかがシール材の上手な使い方と言えます。
こうした材料上の欠点や短所は色々ありますが、シール材以外の材料と併用することでこの問題をカバーできこともあります。
このように、全く異質のものをで、シール材の特定の性能を改善したり、向上させるものをシールの補助材と言います。
固定用シール補助材を機能的に見ますと、以下の3種類に区分できます。
① シーラント(シール性改良材)
② 焼付防止材
③ 防錆材
2 シーラント
シーラント(Sealant)(液状ガスケット)
とは、ガスケットの表面に塗布したり、貼り付けて、表面状態を改質させ、シール性を改善させる機能を持った材料です。
高分子化合物を材料とした液状又は粘着性の流体で、接合面に塗布してシールします。塗布後は固化あるいは高粘着皮膜を作り、これでシールの働きをします。
シーラントはガスケットに比べ、温度、圧力条件が酷でない場合に使用されます。
接手フランジの表面仕上げ精度が悪いと、ガスケットとフランジ面に馴染ませるために大きな締付力が必要となります。また、仕上げ精度
が良くても締付力が小さい場合、フランジのわずかな凹凸部に食い込まず漏れ跡が残ってしまいます。
こうした場合に併用するのがシーラントです。(下図参照)
すなわち、漏れ易い状態を、流動性(又は柔軟性)のあるシーラントを併用すると、大幅にシール性を改善できる訳です。
図1 シーラントの効果
シーラントの種類には①液状ガスケット②ガスケットペースト③PTFEペースト④膨張黒鉛テープ⑤その他があります。
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