新シール概論(2)シールについて(1)(特別号)
2022.05.02
■発行日:2022年5月1日発行
今まで、特に取り上げていないシール関連製品について説明してきましたが、一旦完了して、ここで、日ごろシールに感じている諸事項を述べたいと思います。
実にシールの世界は、奥が深いと感じています。いろいろな製品が溢れていますが、シールは認知度があまり無いのが、現実であるように思います。
シールと言えば、一般の人は張り付けるシール製品の感覚が多く、密封装置であるシールについては、知らない人が多いのも現実です。
多分、高専や大学の講座で、シールを取りあげているところは、ほぼゼロであると想定しています。
従って、社会人になって、仕事で携わっている中で、その存在を知った人が大半と思います。
時々、シールについて初心者に講習会などで説明する場合、手近にある製品から話をすることがあります。
その一例をここで述べますが、まず室内から話をします。
皆さんがお持ちの時計にはシールが入っていることを説明し、次に入ってきたドアーの開閉装置(ドアークロザー)には通常装置に入っている油の粘性を用いており、かつそれらにはシールが無くてはならない存在であることを説明します。
続いて、トイレの給水装置やガス装置にシールが使用されているかを説明するとああそうかとの顔をされる方が多くいられます。
次に大トラブルであつた実例を説明します。1986年1月28日、ケネディー宇宙センターから打ち上げられたスペースシャトル・チャレンジャー号が打ち上げから73秒後に大爆発を起こし、乗船していた7名の宇宙飛行士全員が死亡した例です。
その原因は使用したゴムOリングの材料の低温性が悪かったことと溝構造上の問題で発生したものです。
ただ1個のシールでも人命にも影響をすることがある例でした。
そのように説明するとシールの重要性を理解してもらいます。
この後、基本からシールの説明に入ります。
シールについては、多くの事項があり、勉強するもの大変です。数学のように公式があり、これに基づいて構成されている世界とも異なり、経験が多く入り込む世界でしょう。
以前には参考になる書籍などを紹介したことがありますが、皆様が大型の書店でも見られたら判りますが、シールに関する書籍はまず、店頭で見ることがないと思います。
書店に展示されている書籍は売れ行きのこともあり、日常売れないものは置かないのが一般です。その点で先ほど述べましたシールの認知度があまり無いことと連動していることになります。
残念ながらこのことは、現実です。
次号も続けて述べさせてもらいます。
(続く)
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