新シール概論(2)
シールについて(2)(特別号)
2022.06.02
■発行日:2022年6月1日発行
先月号で、シールの認識度について説明しましたが、しかし、シールは機械基礎製品であることには間違いないと思っています。いわゆる縁の下で産業を支える重要部品であることです。
いろいろとこの業界にいますと基礎的な質問が多くあります。
やはり、狭い業界ですが、シール製品が多くあり、適材適所に使用する必要性があり、その選択が重要であることです。
特にシール製品の主力はゴム製品であり、使用温度に関する質問が多くあります。
しかしながら、シール会社のカタログや技術資料には明確には明示されていないようです。
最高使用温度の上限には、シール会社はばらばらの状態です。
なぜでしょうか。ここには大きな落とし穴があります。
すなわち、その使用時間が記載されていない点です。
したがって、各社のばらばらの指示は、この時間との関係があり、各社の指示も間違いでもないのです。短時間ならば、ゴムの使用可能温度は高くなりますし、長時間ならば、指示温度も低くなります。
ご経験で存知でしょうが、家庭用家電では、部品は約8年程度でしか、保管されていないようで、従って、約10年程度で寿命となるように設計しているよう感じます。
また最近では部品交換より、買い替えるようになっているようになっているように感じる次第です。
シールのゴム材料でも先ほど述べましたように特に最高使用温度は使用可能時間との関連で捉える必要があります。
例えば、ふっ素ゴム(FKM)では最高使用温度では200℃がカタログなどで指示されていますが、それでも使用時間が明らかになっていません。常識的に言えば、シールが使われている機器では、10年以上の期間まで、使用が可能でしょうか。
やはり、通常機器のメンテナスがあり、経験や実績により、シール製品の交換もされているのが、現状でしょう。
自動車では定期点検で部品の交換などは規定されているようです。
飛行機などでは、フライト時間により、部品の点検や交換が明示されている場合が一般ですので、その点での安全度が高いのでしょう。
シール製品で固定用のOリングなどでは、寿命は圧縮永久ひずみの数字で捉えて、判断ができることが経験からわかっています。
いわゆる80%のひずみが発生すると漏れが生じることがあり、その時点が寿命とする80%説です。この点については、過去の試験でも実証されていますので、寿命を推定するには適しています。
さらにこの説と同様に温度10℃下がれば、寿命は2倍になることもシールの世界ではいまや常識になりつつあります。
これはアレニウスの定説が基礎になっており、経験上も合致しています。
やはりゴム製品は化学物質であり、温度による影響が大きいのは当たっています。
まだ話題は尽きませんので、次号に続きます。
(続く)
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