一覧に戻る

新シール概論(2)シールについて(5)(特別号)

■発行日:2022年9月1日発行

 

さらに話は続きます。

多い質問では、やはりシールの選定についてです。

 

基本的には、規格されているシール製品やカタログアイテムになっているものを

まず選定の基準になります。

 

理由は明確ですが、新たなシール設計をした場合には、

ゴム部品であれば、新規に製造するための金型が必要になることがどうしても多くなります。

 

シール用金型は製品の大きさや形状により、また製造数の大小によりますが、

取り数などにより、異なりますが、約20万円以上が掛かります

(諸条件によりますが、50万円以上になる場合もあります)。

 

金型を作成すると初期に費用がかかり、どうしても新規のシール製品の価格に影響します。

この点、カタログアイテムになりますと、シールメーカが既に金型を作成済ですので、

初期の金型費用は無くて済みます。

この点のメリットは大きいです。

 

また、製品には在庫品も準備されている場合もあるので、

納期の問題はあまり気にする必要はありません。

 

その他、カタログ品でも異なるゴム材料で製造しますと

正規の寸法にならない場合もあるので、注意が必要です。

 

このような場合には時々問題になるのは、

メーカは相当寸法で製造しますとの説明があり、

客先に予め了解を得る必要があることがありますので、

メーカの言い分を参考に使用可否などを検討することになります。

 

同系統のゴム材料では、特に問題は少ないですが、

例えば、正規の製品がNBRである場合にFKMで製造しますと、

ゴムの製造時のゴムの収縮率の違いで、径方向などでは大きな変化が生じるので、

無理な場合が多いようです。

 

以前にこの相当寸法で揉めた場合が多々ありました。

ユーザはどうしても金型費用を出したくなく、

既存の金型で製造を希望されると先ほどの問題点が浮き彫りになります。

 

なお、金型を必要としない場合の製品ではこのような問題はありません。

しかし、実際にはこのようなケースは少なくて、常に金型が問題になることが多いようです。

 

シール製品で製作して作成する製品群はこの点は楽で、常時新規製品への対応が図れます。

 

最近では、試作などでは、金型を製造せずに、

製品を切削して作成して評価試験などを実施してから量産に移る場合も多くなりました。

 

シール選定については、病院のカルテ等のようなものを作成して諸条件を漏れなく記載して、

メーカと相談することをお勧めします。

 

この諸条件が実は、問題がありまして、

ユーザの常識とメーカの常識が一致せず、抜ける場合があります。

 

昔の話ですが、自動車関連のシールの材料を開発中に

耐オゾン性がメーカでは、抜けて、

途中で仕様に追加した場合がありました。

このようなことが無いように万全を期すことが求められています。 

 

(続く)

 

FAX通信4年9月

お問い合わせフォーム

 

個人情報保護方針