やさしいシールの基礎ガスケット編 ガスケットコラム

最終更新日: 2024/05

やさしいシールの基礎 ガスケット編を2018年5月に発行しました。これに関し伝えたいことを記述します。

シールに関してJIS規格では、JIS B0116-2015「パッキン及びガスケット用語」があります。ここでは、パッキン及びガスケットの種類及び名称に関する用語、並びにそれらに関する技術用語について規定されています。お客様からの引合いで「パッキン」という用語が頻繁に認められます。その内容を確認しますと、固定用シールのガスケットの場合が多くあります。シールメーカーの人間としては、パッキンとガスケットを明確に分けたい思いがあります。

JIS規格では、ガスケットは次の通り定義されています。フランジ継手などの静止部分(ドアのような開閉部を含む。)に用いるシールの総称。固定用シール又は静的シールともいう。
パッキンは、回転、往復運動などの運動部に用いるシールの総称であり、運動用シール又は動的シールともいう。
シールの定義も紹介しておきます。流体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止する機能又は部品。密封と同じ、又は密封するための部品。
このJIS規格には、参考として対応英語も示されており、用語の英文表記に困ったときは、おおいに役に立つと思います。

 

シールの始まり

記録に残っている物では、紀元前2000年頃のメソボタミア文明の古代バビロンがあります。ギリシアの歴史家ディオドロスが書き残した記録によると、ユーフラテス川の川底を横断するトンネルが建設され、そのトンネル壁はレンガが積まれアスファルトで防水処理されていました。アスファルトによる防水はその後長く使われ、特に地中海沿岸では造船に広く使用されました。シールが工業的に重要になったのは蒸気機関が発達した18世紀頃からです。蒸気機関は高温・高圧の方が高い熱効率なので、シールの性能が非常に重要になりました。

 

シール主要製品

1899年Klinger社: 石綿ジョイントシート発明
1912年Flexitallic社: うず巻形ガスケット発明
化学工業 1913年 アンモニア合成 [チリ硝石の輸入途絶(ドイツ) ] (高温高圧)→ 高圧用ガスケット
自動車・航空機産業(石油燃料) → 合成ゴムパッキン

シール製品は、明治以降、高級品のほとんどを輸入品に頼っていましたが、国内のシールメーカーは国産化に努めました。石綿ジョイントシートに関しては、T社が1931年国産1号を完成させました。うず巻形ガスケットに関しては、1952年にT社、V社共に販売開始しています。

 

 

ガスケットの歴史について記述します。

 

石綿ジョイントシートは、1899年Klinger社が発明しました。1912年にはFlexitallic社が石綿フィラーうず巻形ガスケットを発明しました。石綿は耐熱性耐薬品性、価格の安さで多くのシール材として長い期間使用されてきました。

しかし、石綿繊維による健康被害は20世紀前半よりイギリスで報告されており、1970年代には科学的にも証明され、その危険性は一般にも広く認知されるようになりました。石綿製品工業会では、1974年に石綿繊維の中でも危険性が高い青石綿製品の製造を自主規制し、各ガスケットメーカーでもそれに先行して耐酸用青石綿ジョイントシートを製造中止としました。しかし、その後も白石綿に関しては実質的な石綿規制には至りませんでした。その理由は、石綿製品が広く使用されており、その信頼性や実績に替わる非石綿製品とりわけ非石綿ジョイントシートがいまだ製品化されていなかったことが大きいです。

そのため、1970年代後半には各ガスケットメーカーが非石綿製品の開発を開始しました。非石綿化ジョイントシートの開発は、石綿代替繊維の探求であり、非石綿化の移行過程では、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、金属繊維等の代替繊維が検討されました。しかし、石綿ジョイントシート並みの性能を持った非石綿ジョイントシートは開発できませんでした。

石綿ジョイントシート規格はJIS R 3453-1995でしたが、石綿規制を受けてジョイントシート規格JIS R 3453-2001と改正されました。経緯は規格の解説を見ればよくわかります。改正の要点は、次の通り。

 

①JIS R 3453-1995(石綿ジョイトシート)においては、繊維質として石綿繊維を使用するジョイントシートであったために組成の配合量を規定していたが、今回の改正にあたっては、非石綿繊維を使用するジョイントシートも範ちゅうとしたので、組成の配合量はふさわしくなく削除した。②種類は性能面からA種とB種の2種類に改めた。

A種: 使用温度 120℃以下 B種: 220℃以下
日本では法律で2006年9月1日以降、石綿製品の製造・使用ができなくなりました。 

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