フラクトグラフィについて(2)
2014.02.01
■発行日: 2014年2月1日発行 NO.02-66
新シール概論(66)(フラフトグラフィにいて)
2. ゴム材料についてのフラクトグラフィについて(図書の紹介)
ゴムを含む高分子材料での研究はあまり無く、有効手段として活用される機会も少なかったのも事実です。
しかし、最近専門書が発行されていますので、ご興味のある方は、勉強ください。
株式会社 技術情報センター
「高分子材料のフラクトグラフィ」
山形大学 成澤名誉教授 編集で価格は63,000円です。
役に立つのは、ゴム、樹脂製品などに掛かっている品質部門や材料部門の人達と思います。(当然、シール製品への展開も可能だと思います)
トラブル解明の一手段であり、これが当然すべてではありません。
これ以外の専門書はありますが、高分子関連としては他には少ないと思っています。
ただし、高くて購入しておりませんが、タイトルを見る限り相当細部にわたり書かれているようです。
3. ゴムのフラクトグラフィの作成方法について
この手法について詳しく述べている文献があります。
「ゴムの破面観察」著者:川村氏、原島氏の文献です。(コマツ)
ゴム材料の破損について
- 物理的破損
- 1) 引張、引裂き
- 2) 疲労-屈曲、ねじり・圧縮、伸張
- 3) 低温脆化
- 4) 摩耗
- 化学的破損
- 1) オゾン、熱(油劣化)
と分類している。
次に、それぞれの事象をシール・製品などを用いて、実際に試験を行い、破損を起こさせている。
実現できたゴムの破損面をSEMなど用いて、そのパターンを観察した上、関連付けを行っている。
非常に時間が掛る実験ですが、丁寧に行っています。
前に述べていますが、金属の破損パターンと対比させながらゴムの破損面の分類を実施している。
詳細は省略しますが、このゴム材料のフラクトグラフィとしては、貴重な調査と言えます。
ゴム材料のトラブル発生後の調査として、有効な手段となります。
よくシールなどのトラブルが発生した場合、その破損品を十分に調査して、解明するためには、過去の経験が必要と言われるが、これらは多分このような破損面のパターンなどが記憶(記録)していることが多いと思っています。
それらのデータが集積されれば、実際の問題の解明に役立つようになるでしょう。
次回からは、新しいシリーズに移り、シールに使用されるゴム材料の製造に関して記載する予定です。
(続く)
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