作業用手袋の国際規格とおすすめの耐切創手袋

最終更新日: 公開日: 2025/10

安全用手袋は世の中に数多ございますが、作業者の目線からすると「性能が本当なのか?」という疑問を持つことは何ら不思議ではありません。
これに対し、第三者機関による試験結果が1つの信用につながるポイントになります。

今回は様々な安全用手袋の規格についてご紹介するとともに、弊社でおすすめの作業用手袋についてもご案内いたします。

個人保護具に関する指針:(EU)2016/425

(EU)2016/425は、旧指令であるDirective 89/686/EECに代わって2016年3月に制定された、欧州の新しい個人保護具(PPE)に関する法案です。
製造業者が提供する保護具が、作業者の健康と安全に関する基本要件を確実に満たしていることを保証することです。
リスクの度合いに応じて3つのカテゴリーに分類され、リスクが高いほど認証機関による厳格な審査が必要になります。

Category Ⅰ

最低限のリスク
日常生活や軽作業など、最低限のリスクに対応するための保護具です。
メーカー自身が製品を試験・評価し、結果をまとめた技術文書を作成します。
第三者機関の認証は不要です。
Category Ⅱ

CAT.ⅠおよびCATⅢに含まれないリスク
一般的な作業や中程度のリスクに対応する保護具です。
EU認定機関による試験と認証を受ける必要があり、CEマークや認証機関の番号・名称・住所などが製品に表示されます。
Category Ⅲ

高リスク
EN ISO 21420は、すべての保護手袋に共通する一般的な要件を定めた規格です。
従来のEN 420:2003 + A1:2009を置き換えるもので、手袋のデザイン、サイズ、快適性、操作性、化学的な安全性などを規定しています。
静電気や火花の発生リスクがある作業では、EN 16350に基づいた静電気特性のテストが必要です。

欧州標準 EN ISO 21420(保護用手袋に関する一般要件)

この標準はEN 420:2003 + A1:2009を置き換え、保護手袋や腕保護具を含みます。
主に、手袋のデザイン、サイズ、設計、化学的無害性、快適性および効率性(サイズや操作性)、および製造業者が提供する情報が含まれます。
引火性または爆発のリスクがある作業場で使用する手袋は、EN 16350に従って静電気特性をテストする必要があります。

欧州標準 EN 388:2019(EN 388:2016+A1:2018、機械的・物理的リスクに対する保護)

機械的なリスクから手を守るための最も一般的な規格です。
手袋の手のひら部分の「摩耗」「切創」「引裂」「突刺」に対する耐性を評価し、場合によっては衝撃保護テストも行います。
レベルの数値が高いほど保護性能が高く、作業内容に合わせて選ぶ際の目安になります。

以下の表は、EN 388における4つの物理的テスト項目とその性能レベルを示したものです。

性能レベル 0 1 2 3 4 5
a)耐摩耗性(回数) <100 100 500 2000 8000 -
b)耐切創性(COUPEテスト:指数) <1.2 1.2 2.5 5.0 10.0 20.0
c)耐引裂性(ニュートン) <10 10 25 50 75 -
d)耐突刺性(ニュートン) <20 20 60 100 150 -

次の表は、切創耐性をより正確に評価するための「EN ISO 13997 TDMテスト」の基準を示しています。
A~Fの6段階で表され、Fが最も高い切創耐性を意味します。

性能レベル A B C D E F
e)耐切創性(EN ISO 13997 TDMテスト:ニュートン) 2
(204grams)
5
(509grams)
10
(1020grams)
15
(1530grams)
22
(2243grams)
30
(3059grams)

また、EN 388では衝撃保護性能(Impact Protection)も確認できます。
合格した製品は「P」の記号が表示され、落下物や衝撃に強いことを意味します。

Score P F X
f)EN 衝撃保護性 合格 不合格 テスト未実施または該当なし

※a-eの項目にXが表示されている場合は、テストが行われていないか、該当しないことを意味します。

耐切創性等級別の保護レベル比較

以下の図は、EN 388で定められた切創等級(A~F)の保護レベルを比較したものです。
作業内容に応じて、必要な切創レベルを選ぶ際の参考になります。
たとえば、軽作業にはレベルA~C、金属加工などではレベルE~Fの手袋が推奨されます。

欧州標準 EN ISO 374:2016(化学的保護または微生物に対する保護)

EN ISO 374は、化学薬品や微生物など、見えないリスクから手を守るための規格です。
薬品の種類や濃度に応じて透過時間を測定し、防護性能を6段階で評価します。
作業現場で使用する化学物質に適した手袋を選定することが求められます。

EN 374-1:2016 化学物質に対する保護

以下の表は、EN 374-1で定義される化学物質とその記号を示しています。
アルファベットで表記される物質に対して、性能レベルが「1以上(10分以上)」の場合は防護性能ありとされます。

記号 流体名 記号 流体名 記号 流体名
A メタノール G ジエチルアミン M 硝酸65%
B アセトン H テトラヒドロフラン N 酢酸99%
C アセトニトリル I エチルアセテート O 水酸化アンモニウム25%
D ジクロロメタン J n-ヘプタン P 過酸化水素30%
E 二硫化炭素 K 水酸化ナトリウム40% S フッ化水素酸40%
F トルエン L 硫酸96% T ホルムアルデヒド37%

テスト対象の化学物質の数と耐久時間に応じて、手袋には異なるマークが表示されます。
下記のマークは、防護できる薬品の種類やレベルを示しています。


上記リストにある1種類以上の科学物質に対し、性能レベル1以上(10分以上)

上記リストにある3種類以上の化学物質に対し、性能レベル2以上(30分以上)

上記リストにある6種類以上の化学物質に対し、性能レベル2以上(30分以上)
性能レベル 0 1 2 3 4 5 6
分(時間) <10 10 30 60 120 240 >480

※手袋が>=40cmの場合にのみ適用

EN 374-5:2016 細菌、カビなどの微生物に対する保護

EN 374-5は、バクテリアやカビなどの微生物に対する防護性能を確認する試験です。
ウイルス透過試験にも合格した手袋には、マークの下に「VIRUS」と表記されます。
医療や実験室など、感染リスクが高い現場で重要な基準です。

欧州標準 EN 511(低温からの保護)

EN511は、防寒・冷凍倉庫・寒冷地での屋外作業における手の保護を目的とした規格です。
対流熱・接触熱・水の浸透性が評価され、数値が高いほど保温性と耐水性に優れます。
冷凍食品の取扱いや冬季の建設現場に最適です。
防寒手袋の熱抵抗レベルは0~4等級で表示され、数字が高いほど性能が優れています。

性能レベル 0 1 2 3 4
a.対流による低温(㎡あたりの断熱℃/W) ITR<0.10 0.10<ITR<0.15 0.15<ITR<0.22 0.22<ITR<0.30 0.30<ITR
b.接触による低温(㎡あたりの熱抵抗℃/W) R<0.025 0.025<R<0.050 0.050<R<0.100 0.100<R<0.150 0.150<R
c.水浸透テスト 不合格 不合格 - - -

食品接触物質(FCM)および製品に関する規制

欧州で販売されるすべての食品接触製品(カトラリー、皿、加工機械、包装紙、食器、手袋など)は、EU食品接触材料基本規制 (EC)No.1935/2004およびその他の材料別のFCM規制に準拠しています。
これらの規制は、以下の一般原則を遵守することを求めています。

  • 有害な成分が食品に移行すること、または食品の組成/味/匂いを変える物質の使用は禁止
  • 食品接触が許可された製品には、グラスとフォークのピクトグラムが表示されます
  • 消費者が誤解しないように、食品接触物質にはラベル表示、広告および説明の義務があります
  • 必要に応じて、食品接触物質の正しい使用方法に関する情報を提供する必要があります

米国標準 ASTM/ANSI 105-2016

ASTM/ANSI 105はアメリカで定められた手袋の保護性能評価基準です。
EN 388のTDMテストと類似しており、切創耐性を数値化して比較できます。数値が大きいほど、切断や摩耗への耐性が高いことを意味します。
グローバル展開する製品では、EU規格とあわせてこの基準も考慮されます。

おすすめの作業用手袋

耐切創性・耐熱性を併せ持つ手袋

  • 耐切創性
  • 米国規格ANSI/ISEA 105-2016においてA9(最高グレード)、欧州規格EN388:2016においてFレベル(最高グレード)の試験に合格しています。

  • 耐熱性
  • 欧州規格EN407:2004に基づき、接触熱・対流熱・放射熱などの様々な熱源に対してどの程度耐えられるか試験を実施しました。
    接触熱クラス2を取得しており、250℃までの接触熱に対して安全に作業することができます。

  • タッチスクリーン対応(一部のスマートデバイス)

さらに詳しい情報をお求めの場合は、以下ページをご覧ください。

フィット感抜群の耐切創手袋

耐切創手袋
Ultra Cut PRO

  • 耐切創性
  • 欧州規格EN388:2016において、Eレベル(最高グレードはF)の試験に合格しています。

  • 優れた作業性(18ゲージ)
  • 厚手で硬めの使用感である一般的な軍手が7ゲージであることに対し、網目が細かい18ゲージです。
    手にフィットしやすい上に、耐切創レベルも高い製品と言えます。
    革手袋などの下にインナーグローブとして装着しても分厚くなりづらく、蒸れを抑えつつ耐切創レベルを補強できます。

  • タッチスクリーン対応(一部のスマートデバイス)

さらに詳しい情報をお求めの場合は、以下ページをご覧ください。

最後に

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
おすすめの作業用手袋としてご紹介した手袋は、サンプル無償提供のサービスをご用意しております。
「現場で実際に使えそうか?」を気になられたお客様は、下記のお問い合わせフォームよりご相談ください。

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