駐車場・コインパーキングにおすすめの最適な照明

最終更新日: 公開日: 2025/05

2000年代以降「若者の車離れ」と言われて久しいです。
しかし実は自動車保有台数に加え、駐車場の施設数は堅調な微増傾向であることが、国土交通省の「自動車駐車場年報(2023)」でわかっています。

今後も成長維持予想される駐車場マーケットですが、「明かりを照らすだけ」と思われがちな照明も忘れてはならない重要な設備です。
というのも、「何となく。」で選んでしまった照明が原因となり、思わぬトラブルに発展し兼ねないからです。

本ページでは、駐車場用照明・コインパーキング用照明の選び方から、おすすめの照明器具まで紹介いたします。

駐車場で照明器具が重視される背景

犯罪抑止による地域貢献

不特定多数の人が自由に出入りしやすい駐車場は、犯罪の温床になりやすいという負の側面も忘れてはいけません。
警察庁の「自動車盗難等の発生状況等について(令和6年3月)」によると、令和5年(2023年)に起こった自動車盗難の26.0%が、駐車場において発生したというデータがあります。

一般住宅(39.8%)に次いで2位の発生率であり、駐車場・コインパーキングを建設する際は、その対策も講じなければいけません。
特に暗い印象を持つ駐車場では、人影があっても遠くからでは犯罪行為を発見をしづらいため、地域の犯罪率上昇を招き兼ねません。

この対策として、照明によって十分な明るさを確保した駐車場設計が挙げられます。
仮に犯罪行為が行われていても周囲から発見されやすく、地域の防犯率低下に貢献できます。


明るい/暗い駐車場の例ですが、以下の写真を比較し、どちらが犯罪に巻き込まれやすそうかは一目瞭然かと思います。

照明が明るく視認性の良い駐車場
照明が明るく視認性の良い駐車場
照明の明かりが不十分で視認性の悪い駐車場
照明の明かりが不十分で視認性の悪い駐車場

住宅街における駐車場では近隣の方が不安を感じないように調和し、末永い良好な関係構築が重要と言われています。

当て逃げ・衝突防止

場内が明るさ不足で暗いままの駐車場の場合、運転者にとって視界不良となり安全確認が困難となります。
そして、入出庫時に駐車中の車に衝突するリスクが増し、当て逃げの発生へとつながります。

照明が暗い駐車場では、当て逃げのリスクが上がる

当て逃げ・衝突防止の対策として、場内を明るく保つための照明の選定が重要とされます。
利用者同士のトラブル回避・快適な利用のためにも、適切な照明を選ぶことがおすすめです。

ナンバープレートの撮像(カメラ読み取り)

数年前から、ナンバープレート読み取り式を採用した駐車場が増えてきていることはご存知でしょうか?
以下の呼び方の方が、馴染み深い方もおられるかもしれません。

  • 車番認証システム駐車場
  • 入退場管理システム駐車場
  • 車番チケットレス駐車場
  • スマートパーク
    ピットデザイン株式会社様が提供されるサービス名です。
  • ゲートレス駐車場
  • DSRCシステム

ナンバープレート読み取り式駐車場とは、入出庫時にカメラで車番・ナンバープレートを認識して、駐車料金を事前精算することにより、出庫時間短縮や渋滞緩和のメリットがあるシステムです。

あくまで一例ではありますが、以下はアマノ株式会社様のシステムです。

出典:アマノ株式会社「車番チケットレス

非常に便利で現代的なサービスなのですが、夜間にカメラで認識する際、ナンバープレートは照明の光で反射してしまい、上手く読み取れないこともあるようです。
 ※特定の企業様の製品性能について言及しているわけではございませんので、悪しからずご了承ください。
夜間のナンバープレートがカメラで読み取れない・撮像できない理由として、アルミ製であることが多いナンバープレートは、光を反射しやすい素材を採用しているからです。

カメラが正常に認識できるように最適な照明器具を選択いただくことが、重要とされています。

一般駐車場に最適な照明の選び方と注意点

一般駐車場に最適な照明の選び方

駐車場用に適した照明を選ぶ際、事前にチェックしておくべき注意点があります。

ここから紹介する選び方のポイントを踏まえていただくと、利用者はストレスなく安全に利用でき、近隣住民の方からのクレーム防止も期待できます。

眩しさによる光害(ひかりがい)の対策

設置した照明が眩しい場合、運転手や歩行者の視界を邪魔したり、近隣住民へ不快感を与えたりと、思わぬ事故・トラブルの原因となるため注意が必要です。
このような照明の設置方法や配光が不適切で、景観や周辺環境への配慮が不十分なために起こるさまざまな影響を「光害(ひかりがい)」と呼びます。

LEDは眩しく光害を感じやすい

環境省「光害対策ガイドライン」の「3.1屋外照明による環境影響」によると、以下のような苦情事例が報告されています。(一部抜粋)

快適性への影響として、屋外照明による住居内への侵入光により、居住者の安眠や、プライバシーを阻害することなどがあげられる。また、ビルや店舗、ショーウィンドからの漏れ光や映像表示装置(デジタルサイネージ等)が歩行者にグレア等による不快感を与えることがある。

【事例】
住居の隣にコインパーキングが新設され、敷地内を照らすLED照明が設置された。その光が窓から侵入し、一晩中室内が明るく照らされるため、落ち着いて眠ることができない。

必要な照度を確保することは確かに大切ですが、上記のようなトラブルを防ぐためには、照明設置角度を調整したり、まぶしさの少ない特性を有する照明を設置する等で対策することが可能です。

広角配光(ワイド配光・拡散光)

施設を広範囲を照らす照明を選び、少ない設置台数で同じ照度を実現することができることも重要です。
灯数削減により同じ照度を確保できると、施設あたりの総消費電力を抑えてイニシャルコストとともにランニングコストも削減することを期待できます。

しかし駐車場に採用されることが多いLEDですが、直線的な光が特徴のため、直下をを局所的に照らしてしまう恐れがあります。
そこで最近では、拡散カバーを取り付けたり、配光レンズで拡散する光にする等の工夫がなされています。
駐車場照明では一般的なLEDを選ぶのではなく、特殊レンズやカバーを使用しているLED光が広角に配光する特性を持つ照明を検討することをお勧めします。

耐候性・耐久性

  • 屋外の場合
    雨風や紫外線に曝されるため、防塵・防水性能(IP性能)の確認が推奨されます。
    立体駐車場のような半屋外に関しては、絶えず屋外の湿度や砂埃などに曝されることとなります。
    よって、同じく防塵・防湿性能の確認は必要と言えるでしょう。

    また、紫外線による劣化を防ぐため、対候性の高い素材(アルミダイキャストやポリカーボネード)が使用されている照明を選ぶと安心です。
  • 屋内の場合
    屋内や地下駐車場の場合でも、湿気は溜まりやすく、自動車が砂埃を運ぶため、防塵・防湿性能の確認が必要です。

明るさ

駐車場を安全に利用してもらうには、適した明るさを確保することが必要です。
明るさを確保することで、安心・安全に運転できるようになるだけではなく、監視カメラの効果を向上させることや、犯罪予防にも寄与します。

JIS照度基準において駐車場に必要な明るさは、屋内/屋外・交通量によって異なり、5~150lxです。

屋外 交通量:多い 20lx
交通量:中程度 10lx
交通量:少ない 5lx
屋内・地下 車路 交通量:多い 150lx
交通量:中程度 75lx
交通量:少ない 30lx
駐車位置 出入りの多い 75lx
出入りの少ない 30lx

尚、警察庁が発表している「安全・安心まちづくり推進要綱」では、以下の照度基準を推奨されていますので、併せてご確認ください。

駐車・駐輪場 駐車場(500㎡以上) 車路 10lx以上
駐車エリア 2lx以上
駐車・駐輪場 3lx以上

寿命

製品寿命が長い照明を選択することは、ランニングコストに大きな影響を与えます。
寿命が短いと交換頻度も高く、そのたびに電気工事業者へ依頼するのはメンテナンスコストがかかり、依頼自体が手間となります。

寿命の照明を駐車場に設置すると、交換作業回数が減り、工事費や時間を削減することができます。

省エネ

24時間利用可能な駐車場やコインパーキングも多く、照明がどれぐらい省エネであるかは、ランニングコストや環境負荷に大きく影響します。
照明の省エネ性能を計算する指標にもなるlm/W(ルーメンパーワット)を確認し、省エネ効率の高さを判断することも重要です。

ナンバープレート読み取り駐車場に最適な照明の選び方と注意点

ナンバープレート読み取り駐車場に最適な照明

前項で紹介した選び方に加え、ナンバープレート読み取り式駐車場ならではの重視すべきポイントについて紹介します。
カメラで正しく読み取る必要があるからこそ、一般的な駐車場よりも選定には熟慮が必要です。

反射

駐車場に広く導入が進んでいるLEDは、「光を反射しやすい照明」と一般的に言われています。
「反射」はカメラでナンバープレートの読み取りを困難にする要因になり得ますので、照明を選定する際には細心の注意が必要です。

ピットデザイン㈱様のご提供サービス「スマートパーク」の例
ピットデザイン㈱様のご提供サービス「スマートパーク」の例

ナンバープレート部分が反射してしまうと、もちろんカメラで正常に撮像することが不可となり、利用者・施設オーナーからのクレームにつながり兼ねません。
照明の設置角度を調整することにより緩和されることもありますが、読み取り部分が照度不足に陥る恐れもあります。

上記からナンバープレート読み取り式駐車場の照明の選び方として、反射が少ない照明を選ぶことが重要といえます。
ナンバープレートの読み取りが無電極ランプは可能
ナンバープレート撮影のためには、反射しない照明選びが重要。

ナンバープレート読み取り式駐車場に最適な照明「無電極ランプ」

前項で紹介しました駐車場照明の選び方のポイントを踏まえ、おすすめする駐車場用照明の1つ目は無電極ランプです。


無電極ランプ ALL TERASU®シリーズ

一般用途の屋外駐車場でもおすすめする製品のため、以下の特徴をご覧ください。

①拡散光

各特徴を紹介する前に、「拡散光」が他のメリットを複合的に生み出しますので、はじめに紹介させていただきます。
無電極ランプは光源が大きく光が多方向へ拡散されるため、ナンバープレートや駐車場の空間全体をムラなく照らすことができます。

また拡散光は照明同士の光が重なりやすいため、設置環境によってはLEDより照明の台数を削減することができます。

②反射が少ない

無電極ランプは製造業における金属製品の検査・検品作業で使用されるほど、反射が少なく好評をいただいております。
LED照明と反射の少なさを比較した写真は、以下をご覧ください。

無電極ランプ反射しづらい
LEDは反射しやすい

この反射の少なさを評価いただき、カメラによる車番撮像のシステムメーカー様各社様より弊社の照明をご指定いただいております。

無電極ランプは反射が少なく、カメラで車番認証可能。
無電極ランプは反射が少なく、カメラで車番認証可能。

③眩しさ・グレアが少ない

無電極ランプは、グレア(ちらつき)が強く残る光ではなく、人の目に優しい光です。
LED照明と眩しさ・グレアを比較した写真は、以下をご覧ください。

無電極ランプは眩しくない
LEDは眩しい

眩しさ・グレアが少ないことにより、オーナー様にとって以下のメリットがございます。

  • 入出庫時における、駐車中の他車両への衝突事故につながりづらい。
  • 眩しさによって生じる残像が少ないため、出庫後の交通事故につながりづらい。
  • 不快な光に感じづらく、近隣・通行人にとって生活の妨げになりづらい。

④影が少ない

無電極ランプは拡散光により空間全体をムラなく照らす光の質を有するため、影が生じづらい照明です。

無電極ランプは影ができづらい
LEDは影ができやすい

駐車場全体の影が少ないと、死角ができづらく、犯罪者に狙われづらい防犯能力の高い施設にすることができます。

⑤屋外で使用可能

弊社が取り扱う無電極ランプは、IP66又はIP65の防塵・防水試験に合格しております。
よって、屋外でも問題なくご使用いただけます。
以下はIP試験を抜粋しました。

防塵等級
等級 人体・固形物体に対する保護
保護の程度 テスト方法
IP6□ 完全な防塵構造 粉塵の侵入が完全に防護されている
防水等級
等級 水の侵入に対する保護
保護の程度 テスト方法
IP□5 いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない 3mの距離から全方向に12.5ℓ/分・30kpaの噴流水、3分間
IP□6
(耐水型)
いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない 3mの距離から全方向に100ℓ/分・100kpaの噴流水、3分間

無電極ランプまとめ

駐車場・コインパーキングのPOINT
  • 拡散光だと、現状より照明の台数を削減しても同程度の照度を実現できる可能性があります。
  • 反射が少ないと、ナンバープレートを正確に認識することができます。
  • 眩しさ・グレアが少ないと、近隣住民や敷地内を運転するドライバーへの目の負担を軽減できます。
  • 影が少ないと、駐車場内に死角ができづらいため防犯対策しやすくなります。
  • 屋外で使用できると、ほとんどの設置場所で上記のメリットを発揮できる。

駐車場で採用実績のある製品に関しては、以下をご覧ください。

雨風・湿度に曝される立体駐車場に最適な照明「LEDベースライト」

続いておすすめする駐車場用照明の2つ目はLEDベースライトWPL--822-5200です。
低電力でありながら高照度を実現できることから、蛍光灯や従来の直管LEDランプを置き換えるだけで照度アップが省エネ照明器具です。


LEDベースライト WPL-822-5200

①拡散光

LEDベースライトWPL-822-5200は特殊レンズを使用しているため、光がワイドに広がる拡散光が特徴です。
光が広がることにより蛍光灯・他社ベースライトより台数削減が可能ですので、イニシャルコスト・ランニングコストを抑えることができます。
増田さん作成画像追加

以下の図は、照度約150lxのためには蛍光灯6台が必要なところ、LEDベースライトWPL-822-5200は4台に灯数削減できたシミュレーションです。

蛍光灯32W×6台LEDベースライトWPL×4台に置き換え
広さ→5x10m 設置高さ→4m
蛍光灯2灯用(32W)
LEDベースライトWPL(40W)

蛍光灯32W2灯用は約69Wの消費電力(安定器込み)に対し、WPL-822-5200は1台40Wの低電力製品です。
1台当たりの消費電力が少ないかつ、光が広がり台数を削減できるWPL-822-5200は省エネに貢献できます。

尚、「高スペックな分、器具自体の単価を高価格なのでは?」に思われるかもしれませんが、お客様より「他社品と同じくらいの価格だから、メリットが大きかった。」との嬉しいお声をいただいております。

②屋外で使用可能

LEDベースライトWPLはIP65相当の防塵・防水性能のため、雨や湿度に曝される屋外駐車場や立体駐車場のような半屋外駐車場でご使用いただけます。

他社製品の防塵・防水性能はIP23が大半であることに対して、IP65をクリアしているベースライトは非常に少なく、以下の試験にも耐える性能です。

防塵等級
等級 人体・固形物体に対する保護
保護の程度 テスト方法
IP6□ 完全な防塵構造 粉塵の侵入が完全に防護されている
防水等級
等級 水の侵入に対する保護
保護の程度 テスト方法
IP□5
(防噴流型)
いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない 3mの距離から全方向に12.5ℓ/分・30kpaの噴流水、3分間

LEDベースライトまとめ

駐車場・コインパーキングのPOINT
  • 拡散光だと、現状より照明の台数を削減しても同程度の照度を実現できる可能性があります。
  • 屋外で使用できると、ほとんどの設置場所で上記のメリットを発揮できる。

詳しい製品情報は以下をご確認ください。

コタニが提供する駐車場向けサービス

弊社では、駐車場に設置する照明をご検討いただいているお客様に以下サービスをご提供しております。

デモ機お貸し出し

これまでご紹介した「無電極ランプ」と「LEDベースライト」ですが、デモ機無料貸出のサービスを行っております。
実際の駐車場に仮設置して明るさをご確認いただくことや、現物をご確認いただくことも可能です。
※返送料のみご負担いただいております。
※特に無電極ランプは「眩しさを抑えた光」や「反射が少ない光」という特徴がございます。
「デモ機で光の特徴を事前に確認できたから、導入を決めた。」というお声を数多くいただいておりますので、是非実機にてLEDとの違いを体感してください。


デモ機レンタルをご希望の方は、下記のリンクよりご依頼ください。

照度シミュレーション

駐車場における適切な明るさを確保するためには、照明の設置台数・設置位置の決定も非常に重要です。
これらを考慮しなければ、暗すぎる箇所・眩しすぎる箇所が生じてしまうためです。

弊社では、必要な設置台数の決定・設置位置の最適化を行い、導入後の照度分布を想定していただくために、照度シミュレーションをお出ししております。
デモ機で光を確かめていただき、照度シミュレーションでエビデンスとなる明るさをご確認ください。

照度シミュレーションの画像。

現地調査

検討場所に合った器具が選定できるよう、検討場所の寸法や雰囲気、照明の配置についての現地調査も弊社が所在しております神戸近郊で承っております。
※生憎、弊社ではナンバープレート撮像に関するノウハウを持ち合わせておりませんので、予めご了承ください。
 これまでお取引させていただいた皆さまにはデモ機をお貸し出しし、各社様のノウハウに基づいてテストを実施いただいておりました。

最後に

本ページで紹介した車番認証システムは、ITの発展・活用により登場しました。
こういった技術の発展に業界も対応すべく、駐車場に設置する照明器具は適切な選択を求められ、重要性は増す一方です。

駐車場用照明をご検討のお客様は、以下にございますお問い合わせフォームよりご相談ください。

【執筆者:照明コンサルタント Y.N.】

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