FDA・USP ClassⅥ対応のPTFE(フッ素樹脂)取扱い始めました!

最終更新日: 公開日: 2025/10


今までもFDAやUSP ClassⅥに対応したシール材の紹介をしてきましたが、メインはゴムでした。

今回はシール材としても使用されるPTFE(フッ素樹脂)の海外規格対応品についてご紹介します。

フッ素樹脂とは

フッ素樹脂とは、C(炭素)とF(フッ素)が主成分である合成樹脂の総称です。最も有名なのがPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)であり、「テフロン®」という商品が幅広く認知されています。
ちなみにテフロン®というのはデュポン社が製造するPTFEのことを言います。

フッ素樹脂の特性

フッ素樹脂には以下のような特性があります。

  • 耐薬品性:ほとんどすべての溶剤に対して耐性があります。シール材としてよく使用されるゴムだと浸食してしまう薬品に対しても耐性があるため、過酷な化学環境でも使用ができます。
  • 耐熱性耐熱温度260度、耐寒温度-250度という幅広い温度域で使用することができます。ペットボトルの素材として知られるPET樹脂は⁻20~80度ほどの温度域なので、フッ素樹脂の温度域の広いというのが良く分かると思います。
  • 非粘着性:表面エネルギーが低く、接着しにくいです。フライパンのフッ素樹脂コーティングも、この特性を生かした製品です。フライパン以外にもOリングやコンベア、パイプの内面などにも非粘着の特性を求め、フッ素樹脂コーティングされることがあります。
  • 電気絶縁性:絶縁性をもつ素材の中でPTFEはトップクラスに電気絶縁性に優れています。高電圧、高周波用途における理想的な絶縁材料として、電子機器や航空宇宙分やなどでも使用されています。
  • 自己潤滑性:PTFEは低い摩擦係数を持つ素材につき、潤滑剤なしでも滑らかに動作します。この特性より、潤滑油を使用できない食品機械や、医療機器の摺動部にも使用されています。

フッ素樹脂の用途

あらゆる優れたフッ素樹脂の特性は様々な用途、業界で使用されています。以下は代表的な使用例です。

  1. 化学業界:ゴムなどでは侵されてしまうような薬品も、フッ素樹脂の優れた耐薬品性であれば使用できるため、化学工場や化学プラントで広く使用されています。
  2. 医薬品・食品業界:衛生性や耐蒸気性が求められる現場で、非粘着・無毒性のあるフッ素樹脂が選ばれています。
    • 充填機ノズルや搬送ライン
    • FDA/USP/食品衛生法対応のOリングなどのシール材
    • 洗浄しやすい搬送ベルト・撹拌容器
  3. 半導体・電子部品業界:高純度・金属汚染対策が求められる半導体業界でも、フッ素樹脂が使われます。
       
    • 薬液搬送ライン
    • CMPスラリー供給ライン部材
    • ウェハー洗浄用ノズルやフィルター
  4. 電気・電子・通信業界:フッ素樹脂は絶縁材料で低誘電率を持つため、電子機器や通信機器に多く使われます。
    • 高周波同軸ケーブルの絶縁被覆
    • 電子基板の絶縁層・絶縁テープ
    • センサ部や絶縁ブッシュ
  5.     

  6. その他(建材、日用品、実験道具):私たちの生活でも身近な場面でフッ素樹脂は使われています。
    • 防汚・撥水コーティング(タイル、外壁)
    • フライパンや鍋の焦げ付き帽子コーティング
    • ラボ用容器・分析プレート

フッ素樹脂の種類

 フッ素樹脂と言っても複数種類があります。PTFEについては少し触れていますが、他の種類についても簡単にまとめました。

  • PTFE(ポリテトラフルオロエチレン):1983年にアメリカのデュポン社の研究員がクロロフルオロカーボン類の研究中に偶然発見されたのがPTFEの始まりです。耐薬品性耐熱性など優れた面が多々ある一方、加工はしにくい材質です。
  • FEP(フルオロ化エチレンプロピレン):PTFEの次に開発されたフッ素樹脂です。PTFEに近い特性をもち、加工のしやすさが改良されました。PTFEより融点や溶融粘度がFEPは低いですが、連続使用温度は200℃ほどです。
  • PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン):FEPが改良されたのがPFAです。PFAもPTFEに近い特性を持ちます。FEPと同様で溶融粘度が低いですが、連続使用温度がPTFEとほぼ同等の260℃となっています。

この3つのフッ素樹脂の特性は以下の表の通りです。

フッ素樹脂特性比較表
PTFE FEP PFA
非粘着性
耐薬品性
耐熱温度 約260℃ 約200℃ 約260℃
成形性 × 〇(溶融加工可) 〇(溶融加工可)

各メーカーのフッ素樹脂製品名

 フッ素樹脂やPTFEという名より、テフロン®のほうが馴染みがあるという方も多いかと思いますが、前述の通りテフロン®はデュポン社の登録商標です。このテフロン®のように各メーカーフッ素樹脂に独自の名前を付けて販売しています。以下に記載するのは一部です。基本的な性能は大きく変わりませんが、PTFEに充填剤を加え機械的強度や耐摩耗性を改良させたりと用途に応じて選択できるものもあります。

  • テフロン®:デュポン社
  • Fluon®:AGC
  • ダイニオンTM:3M
  • スミフロン®:住友電工
  • ネオフロン:ダイキン
  • バルフロン®:バルカー
  • ナフロン®:ニチアス
  • ヨドフロン:淀川ヒューテック

コタニが扱うフッ素樹脂のご紹介

シール関連でゴムの要望をいただくことが多い弊社ですが、フッ素樹脂に関しても取扱いがあります。

イギリスのフッ素樹脂メーカー”JAハリソン”とは

JA Harrison(ジェイ・エー・ハリソン)社は、イギリスマンチェスターに本社を置く、シールメーカーです。

Home


1900年にマンチェスター・アードウィック地区で繊維産業向けの金属鋳造や鋼材を供給していたのが始まりで、設立されて以来、100年以上航空宇宙、成約、食品、自動車など幅広い業界に商品を供給しています。

FDA、USP ClassⅥなど海外規格対応のフッ素樹脂ADFLON(アドフロン)

JAハリソンが販売するフッ素樹脂には、FDAやUSP ClassⅥという海外規格対応しているものがあります。
海外規格に対応しているゴムに関しては、こちらの記事で紹介していますが、グローバルスタンダードを求められる企業や自社製品、装置を輸出される企業から複数引合をいただいています。その中で、ゴムだけではなくフッ素樹脂に関しても、FDAやUSP ClassⅥを要望いただくことがあり、ご紹介できる製品を弊社のラインナップに加えました。
フッ素樹脂の加工品はもちろん、シートや丸棒などでの販売も可能です。

またJAハリソンは、海外規格対応のフッ素樹脂以外にも各メーカーの代替材料もあります。
※例:3Mダイニオン TFM1600 → アドフロン27
   3Mダイニオン TF1620 → アドフロン24
 ご興味ある方はぜひご連絡ください。

最後に

フッ素樹脂は優れた面が多く、様々な業界で使用されています。材料メーカーも数社ある中で性能や価格のこと以外に規格という点を重視する方も増えています。海外規格対応できるメーカーや材質を弊社としても拡充していこうとしていますので、ご興味ある方はお問い合わせください。

関連ページ

 

お問い合わせフォーム

 

個人情報保護方針