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特別号(サニタリー用関連)(4)

■発行日:2015年9月1日発行  NO.03-19

新シール概論(1)特別号(サニタリー用関連)(4)

 

3-2 洗浄液に対して耐性があること。(続き)

 

微生物制御対策としての洗浄目的は、
(1)原料付着微生物あるいは加工段階での二次汚染微生物の洗浄
(2)生産機械の洗浄(殺菌)
(3)食品容器・器具などの洗浄(殺菌)

洗浄方法としては
COP(Cleaning Out Place: 分解洗浄)
CIP(Cleaning In Place;定置洗浄)
SIP(Sterilization In Place:定置滅菌)
等があります。

COPは、機器や部品を分解し、洗剤溶液を用いて手洗い(ブラッシング)もしくは洗剤を循環させて洗浄する方法です。構造の複雑な機器や部品の洗浄、床・壁・天井・タンク外面等の洗浄に採用されています。
CIPは、機器や部品を分解することなく、設備構成の中に洗浄機能を組み込ませて構築を行い、洗剤溶液の化学エネルギー・熱エネルギー・運動エネルギーを利用して洗浄する方法を言います。
最近はこのシステムが増えています。
SIPは機器、配管類を製造時の状態から分解せずに殺菌すること。
洗浄や滅菌にはそれぞれ適した薬剤などが使用されます。シール用材料がそれらに対して耐性が要求されます。

では、実際にはどのような洗浄液が使用されているのでしょうか。
基本的には、用途により、異なるので、一概に総括できませんが、次のような洗浄剤が使用されています。
洗浄剤の種類
塩酸、クエン酸、硫酸、酢酸、しゅう酸 硝酸、水酸化ナトリウム、海水、過酸化水素、エチルアルコール、メチルアルコール、水、水蒸気などです。
また使用される温度もまちまちですが、水蒸気では129℃やその他の薬剤に対して65℃から90℃程度と案外高温での使用が一般的です。

以前に述べていますが、これらすべてに使用できるゴム材料は、少なく、適材適所の使用となります。
概略次のような簡単の表を上げておきます。

ゴムの種類 EPDM VMQ NBR FKM
耐水蒸気性(129℃)
水酸化ナトリウム 90℃×3%稀釈 × ×
硝酸 75℃×3%稀釈
クエン酸 75℃×3%稀釈
過酢酸 65℃×1%稀釈 × ×
エチルアルコール

◎:秀、○:優、×:不可

表は文献:ユーザー視点での食品プラントの配管設計 キリンビール(株)松田氏を用いました。

ただし、PTFEやFFKMでは、コスト面では不利ですが、使用は可能となります。しかし、注意すべきなのは、温度と使用時間により、必ず、劣化現象が起こります。

(続く)

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