水銀灯とメタルハライドランプの違い
2020年10月23日
水銀灯とメタルハライドランプは見た目的にはあまり差がなく、区別するのが難しい器具です。メタルハライドランプの水銀灯の一種であり、大きなくくりでは同じランプなのですが、水俣条約の規制対象になるならないも違ってきます。
目次
HIDランプとは
水銀灯とメタルハライドランプの紹介をする前にHIDランプについて紹介します。HIDはHigh Intensity Dischsrge Lanpの略で日本語では高輝度放電ランプとなります。発光原理は蛍光灯と同様で電極から放出される電子が水銀原子と衝突して光を放出します。ランプの種類によって封入ガスや構成材料、発光物質が異なり、この違いによって特長にも差があります。光が強く広範囲を照らせることから天井高5m以上の工場や倉庫、体育館など使用されています。このHIDランプは水銀灯、ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、セラミックメタルハライドランプなどと分けられます。
水銀灯とは
工場や倉庫で多く使用されていましたが、高圧水銀ランプは水俣条約の対象となったことや省エネを求めてLEDや無電極ランプなどへの交換が進んでいます。発光管は高温高圧に耐える透明石英ガラスが使わておりアルゴンが封入されています。演色性がRa40ほどと悪く自然光下と見え方が異なり光源寿命は12000時間ほどです。型番ではHFと表記されていると水銀灯であり、規制対象になっている可能性が高いため一度メーカーに問合せされたほうが良いです。
メタルハライドランプとは
高圧水銀灯の演色性と発光効率改善のために開発されたのがメタルハライドランプです。このランプにも水銀は使われていますが水俣条約の規制対象にはなっていません。発光管は水銀灯と同様の石英ガラスを使用しており金属ハロゲン化物を添加添加しています。型番ではMFと表記されています。
水銀灯とメタルハライドランプの違いについて
発光効率
水銀灯とメタルハライドランプは同じ400Wの消費電力でも発光効率が異なります。水銀灯は400Wで全光束は22,000lmほどですがメタルハライドランプは40,000lmほどです。水銀灯の発光効率は22000÷400=55lm/Wに対し、メタルハライドランプは38000÷400=100lm/Wになります。発光効率が高いほうが省エネとなりますので水銀灯よりもメタルハライドランプのほうが省エネできます。
光束維持率
先ほど発光効率はメタルハライドランプが良いと述べました。数値的にも効率的にも同じ400Wであればメタルハライドランプのほうが明るいと感じると思いますが、それは設置してからの時間によります。メタルハライドランプは高速維持率が低く、2000時間使用で80%の光束となり、6000時間使用で50%ほどに光束が落ちます。水銀灯は12000時間使用で80%ほどの光束なりますので以下のことが言えます。
6000時間使用時のメタハラ400W:40,000lmx50%=20,000lm
6000時間使用時の水銀灯400W:22,000lmx95%=20,900lm
よってメタハラは使用すればするほど光束値が落ちてきますので、設置した当初よりも暗くなっていきます。
演色性
メタルハライドランプの説明でも記載しましたように水銀灯の演色性の悪さをメタルハライドランプは改善しています。水銀灯がRa40ほどなのに対してメタルハライドランプはRa70ほどです。水銀灯を使用してすこし緑がかったような印象の工場はメタハラに変更すると白っぽく感じます。また太陽光(Ra100)に数値が近づきますので、色の見え方あメタハラのほうが自然に見えます。
水銀灯とメタルハライドランプの見分け方
電球だけ見るとほとんど見た目が変わらないのでお客様の中には見分けがつかないという方もおられます。次の項目に着目してみてください。
型番を調べる
現在購入している電球の型番や安定器に記載してある型番をご確認ください。HFではじまっていれば規制対象となる水銀灯、MFではじまっていればメタルハライドランプになります。型番をHPで検索すると各種メーカーページにも規制対象か記載されていますのでご確認ください。
写真撮影する
水銀灯は直接見ると白っぽく見えても、カメラを通じて写真など撮ると緑色に写ります。メタルハライドランプは白色で写りますので、写真を撮って緑色であれば水銀灯の可能性が高いです。しかし水銀灯も白色に写る品番もあるようですので注意が必要です。
色を確認する
水銀灯とメタルハライドランプの違いでも記載したように、メタルハライドランプは水銀灯の演色性を改善したランプになります。感覚的なものもあり難しいかもしれませんが、色を太陽光下とランプ光下で見比べてみてください。全く違う見え方(緑がかったように見える)だと水銀灯の可能性が高いです。
水銀灯やメタルハライドランプの交換として利用される無電極ランプ
弊社は無電極ランプを扱う会社になりますので水銀灯やメタルハライドランプからの交換を提案しております。
無電極ランプとは
無電極ランプも水銀灯やメタルハライドランプと同じHIDランプになります。発光原理は蛍光灯と同様で電極から放出される電子が水銀原子と衝突して光を放出します。ただしフィラメントのような消耗する備品がないので非常に定命という特徴があります。ここからは水銀灯とメタルハライドランプの違いで記載した発光効率、光束維持率、演色性の項目で無電極ランプについて説明します。
無電極ランプの発光効率
無電極ランプの発光効率は90lm/Wになります。200Wタイプで18000lmです。上記の発光効率を確認すると水銀灯が55lm/W、メタルハライドランプは100lm/Wになるのでこの数値だけ確認すると
水銀灯<無電極ランプ<メタルハライドランプ
となります。
ただしメタルハライドランプ400Wに対して無電極ランプは250W~300Wで同照度が実現できると説明します。これは次に説明する光束維持率が大きく影響しています。
無電極ランプの光束維持率
無電極ランプは光束維持率が非常に良い照明です。無電極ランプは常時点灯し、10万時間以上経過しても 約70%以上の光束量を維持します。上記で以下のような計算式を記載しました。
6000時間使用時のメタハラ400W:40,000lmx50%=20,000lm
6000時間使用時の水銀灯400W:22,000lmx95%=20,900lm
これを発光効率に置き換えると以下になります。
6000時間使用時のメタハラ400W:40,000lmx50%=20,000lm÷400W=50lm/W
6000時間使用時の水銀灯400W:22,000lmx95%=20,900lm÷400=52.25lm/W
無電極ランプは6000時間の使用では数%しか光束は落ちません。メタハラを交換検討する際は6000時間以上使用されていることがほどんどですので、無電極ランプのほうが明るく省エネになり、かつ明るさが6~10万時間使用してようやく70%ほど落ちますので、導入したての明るさを長く維持できる照明と言えます。
演色性
無電極ランプは演色性も水銀灯やメタルハライドランプより優れています。無電極ランプの演色性はRa80です。青・緑・赤できれいな白色を表現しており、色を重要視するような塗装エリアや検査エリアでも採用されています。
まとめ
現地調査させていただいた際、よく水銀灯とメタハラどちらか分からないであったり、違いは何なのかと質問を受けておりまとめました。水俣条約の規制対象になるかならないかも大きく違いますし、それぞれのメリットやデメリットがございます。もし自社の照明が何か分からないであったり、交換に迷われましたらご相談ください。
お問い合わせフォーム