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密封理論について(5)

■発行日:2013年8月1日発行  NO.02-60

新シール概論(60)(密封理論について)

シールの密封理論について(続き)

3 運動用シールの密封理論(続き)

従って、漏れは押し行程で出た油膜厚さが引き行程で戻される油膜厚さの差が漏れとなります。 次式に漏れの例を示します。(8)式

(8)式

ここで

V1:一行程における漏れ量
d:ロッド径
H:ストローク長さ

その他の文字の意味は先に述べています。
従って、シールの漏れを少なくする手段は、最終的にはシールの接触圧力に大きく依存していることになります。
まず、圧力側では接触圧力の立ち上がりの勾配が最大になるようなシールが必要となります(WAが大きいこと)。
また同様にこのシールの空気圧側での接触圧力勾配が最小になるようなシールが必要となります(WEが小さいこと)。このような設計を行なえば漏れを少なくできることになります。

 

以上のようなことを見ていきますとロッド用シールは完全に非対称形のシールでなければならないことが解ります。(例としては典型的なものはUパッキンとなります。また特殊な組合せシールなどがあります)
なぜかと言いますと対称形のものは先ほど述べました接触圧力がシールの形に近い対称形になるのでWAとWEに大きな差がでないためです。

 

文献では二つのシールで実例を挙げて比較しています。
図3.6がその接触応力を示しています。
Oリングは硬さ90でNBR です。(太さは2.6mm)
組合せシールはステップシールKタイプで、35%ブロンズ入りのPTFE。

図3.6 10MPa時におけるOリングと組合せシール(Stepseal K)の圧力分布

図3.6 10MPa時におけるOリングと組合せシール(Stepseal K)の圧力分布

 

図のように間違いなく接触圧力の波形が違います。特に図に記載されていますようにWAとWEには違いが見えます。 次に計算式を元に漏れに関して対比した場合の比較を説明します。(続く)

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