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シールとメンテナンス(4)

■発行日:2018年11月1日発行  NO.03-57

新シール概論(2)シールとメンテナンス(4)

 

4. シール製品の寿命に関して(続き)
他方、固定部のシール製品の寿命は、大きく、使用温度に左右されます。
例えば、固定部は、コンパクトなOリングが多く使用されています。ゴム製Oリングの材料が持つ圧縮永久ひずみ特性は、温度と時間の関連で変わります。
例をあげれば、NBR(低ニトリル系)では、次のようなデータがあります。

図1 NBRの長期間の圧縮永久ひずみデータ
図1 NBRの長期間の圧縮永久ひずみデータ
(データは三菱電線工業株式会社のもののです)

 

図1において、Oリングの圧縮永久ひずみが80%に漏れると可能性が高いことから、推定すると100℃では、約半年、70℃では約4年が寿命と推定されます。
通常温度が10℃上がれば、寿命が半減することもある程度当てはまるので、環境温度を下げれば寿命が伸びることとなる{油圧機器ではタンクのオイルクーラーにより油温を下げると効果が大きい。この場合、クーラーの容量(能率)を上げる対策もあります}。
なお、注意すべき事項として、使用流体を変更してはならないは絶対条件となります。例えば、一般作動油から難燃性作動油への変更などを検討する場合には、油圧システムの大半を交換する必要があるので、メンテナンスなどでの処置ではすみません。

 

5. シール製品の交換時の治具について

  • 5.1 治具の現状と役割
    メンテナンスにおいて、シール製品を取り除く、または装着する際には、出来る限り治具を使用するのが望ましい。
    メンテナンスを実施している当事者の多くは。独自で手作りした治具を使用していると思われます。国内では、これらシール製品の装着・取出し治具を特別に販売していることは残念ながら少ないのが現実です。
    しかし、機器メーカーやシールメーカーが、治具に関する情報を取り扱い説明書に記載している場合もあるので、特殊な治具が必要であれば、当初から購入を考えるのが得策かも知れません。
    特に運動用に用いられる組合せシール(樹脂ゴムとの複合シール)は、組み込みが難しいので、治具と訓練が必要です。
    治具についての基本事項は
    • 1) 手持ちナイフ、ねじ回しなどは禁止
    • 2) 鋼より硬い金属製の治具は望ましくない
    • 3) 樹脂や木製が望ましい

(続く)

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