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分光分布が示すLED照明と自然光の違い

可視光とは

虹は多くの方が見たことがあると思います。

多くの方は赤、オレンジ、黄、黄緑、緑、青、紫といった順番に見えるのではないでしょうか?これはヒトの目で見える波長()のことで可視光とも言われます。

可視光線に相当する電磁波の波長は下界はおおよそ360-400nm()、上界760-830nm()となります。

 

 

 

 

 

分光分布とは

分光分布とは、光の中の重なり合う紫から赤までの光が、どのように含まれているかを表したものです。

 

では、昼光の太陽光の分布図を見てみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

基本的には全波長が満遍なくあることは見て取れます。個人差によりますが夕方になると太陽がオレンジから赤に見えると思いますが、これは600-780nmの数値が高くなるという事で波長が変わりヒトの目には色が移ろいで行くように感じる為です。

 

 

LEDの分光分布

LED照明を見てみましょう

 

 

 

 

 

 

青色部分が極端に突出しているのが見て取れます。

これは白色LEDのしくみとして、白色を再現するのに2色以上の光を混ぜて表現するようになっているためで、主流なのは青色LED+蛍光体方式です。青色LEDの光を蛍光体に通して白色発光させて、照明用LEDとして利用することになりました。光として青、赤、緑の3色を混色したほうがより自然な白に見える事もあります。

 

 

太陽光に近い演色性とは

波長により色の見え方は分かったと思いますが、色の見え方を照明的には「演色性」という言葉を用います。

 

演色性とは

古来より、ヒトは物の色を比較するときには太陽光の下で並べて比較(比色)してきました。照明として、たいまつやろうそく、白熱灯などいろいろな光を使用してきましたが、現代も太陽光の下で比較(比色)することは変わりありません。

太陽光(昼光)に照らされた色を一番再現性の高い物としてRa100として定めています。

Ra(平均演色評価数)=色の見え方(再現性)を表す指標

 

各照明器具の演色性とは

太陽光はRa100となりますが、LED照明だと一般的にRa70程度となり色の再現性に乏しい面があります。さらに波長の青色が突出していることで実際の色が再現されず、製品に塗装した色が屋外に出してみると違っていたなどの自動車メーカーなどでクレームに至ったなど、青果物、食品の色味が実際とは違って見える事などがあるのは実際にありました。

 

他、従来より使用されている水銀灯はRa45ほどとなり工場現場で特に塗装を行う現場では工場内での見え方と実際利用する屋外では色の見え方が異なるという話があったというお客様もおられました。

 

無電極ランプはRa80 ほどとなり比較的太陽光に近い演色性となります。

2018年豊洲市場では築地市場と照明が変わったため今までと魚の見え方が違うという話もありました。これは照明の演色性が関係していると思われます。鮮度を色で見極めるなど色を重要視している場合は演色性の指数を機にされることを推奨いたします。

 

人が生活、活動する場所においては再現性(Ra)の高い照明を御使用いただき、快適に過ごせれば一番良いと思います。様々な照明があり、多種多様な場所、現場があるので最適な照明を選ぶのも知識がなければ難しいかもしれません。

そんな時は照明コンサルタントなどの有資格者へご相談されることをお勧めいたします。

現場に即した照明選択の一助になれるかもしれません。