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その他のシール製品(ダイアフラム)(2)

■発行日:2016年5月1日発行  NO.03-27

新シール概論(2)その他のシール製品(ダイアフラム)(2)

 

2 ダイアフラムの材料特性(続き)

 

  • 柔軟性であること。(続き)
    100%モジュラスが小さいほど良いと言いましたが、100%伸ばした時の引張強さを示します。また、シール用で用いるゴムの伸びは200%程度ですが、ダイアフラム用では、500%程度と非常に伸び易いゴムが多く使用されています。
  • ヒステリシスロスが小さいこと。
    ゴムなどの粘弾性体は力を加えて変形させると、粘性の働きによって変形は力より遅れて生じる。この時消費される縁ルギーをヒステリシスロス(履歴損失又は内部摩擦)と呼んでいます。ゴムの粘性の大きさを表すtanδに比例するので、tanδを使って表すこともあります。ロスの多い程、力学的エネルギーが熱エネルギーに変換される割りが多いので、ダイアフラムとしては、得策では無いことになります。
  • 屈曲性の良いこと。
    JIS K 6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの屈曲き裂試験方法」があります。ゴムに繰り返し屈曲を与えると引張応力の加わる部分にき裂が発生する。ダイアフラムの使用では、重要な特性となります。
    この試験により、良い材料の選定が必要です。
  • 圧縮永久ひずみが小さいこと。
    ダイアフラムも固定部では、圧縮される部分がありますので、その部分で漏れを防止と寿命はやはり、圧縮永久ひずみが小さいことが必要となります。
  • 耐熱性・耐寒性のよいこと。
    この項目は、通常のシール類と同じ思想です。用途により、使い分けが必要です(耐熱と耐寒)
  • ガス透過性が小さいこと。
    気体の使用の場合には、やはりガス透過性が選定のポイントとなります。
    以前にも言いましたが、耐寒・耐熱性に優れたVMQゴムは他のゴムと対比して、約200倍透過係数が大きいので、選定時には、注意が必要です。
  • 耐液性が優れていること。
    使用される媒体に対して耐性のあること。

以上の項目で、お分かりのように、一部を除いては、従来のシール材料の選定と大差はありません。

 

3 布入りダイアフラムについて
ゴム単体で使用される以外に、多くは布入りゴムが使用されています。
その布を入れる理由には、耐圧性の向上や、寿命の向上が目的です。

 

では実際に使用されている布を見ていきますと、
木綿(植物性繊維)、ガラス布、絹(動物性繊維)、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、PTFE系繊維などがあります。
使い分けは、その持っている特性とゴムとの相性と接着特性なども配慮して行われています。また、価格無視できない点もあります。一番多く使用されているのは、ポリエステ系、ポリアミド系が多いようです。

(続く)

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