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樹脂材料について11

■発行日:2011年5月1日発行  NO.02-33

新シール概論(33)(樹脂材料について)

1.シール用樹脂材料(続き)

4)POM樹脂について
ポリアセタール樹脂(POM:Poly- acetal、またはPolyoxymethyleneで、後者からPOMと称しています)は、安定した機械的強度から機器部材として多く使用されていますが、シール部材としての使用はあまり多くありません。
耐熱性は約120℃(融点が165℃)程度です。
また弾性率がPAより、高く、より耐圧性に優れている。耐油性もPAと同様に十分なる。吸水性はない。

 

4.1)POM樹脂の用途例

  1. ウェアリング(特に空気圧用に適している。)
  2. バックアップリング(高圧用として、Uパッキンに向いている。)

 

5)その他の汎用樹脂について
ポリカーネイト樹脂、ポリスチレン樹脂などは、シール用に用いている例はほとんどないと思われます。

 

6)スーパーエンプラについて
汎用プラスチックと比較しても文字通りエンプラのスーパークラス。超硬度、超耐熱性、超靱性、超耐薬品性などの用途に、金属の代替え材料などとしてかなり普及が目立ってきている。充填剤としてガラス繊維や炭素繊維との複合材として使用されることが多く、プラスチックとは言っても叩けばガラスや金属のようにキンキンという音がするようなものです。ついでに価格の高さもスーパー級で、上は1kgあたり数万円以上。ちなみに汎用プラスチックは100~500円/kgくらい。エンプラが350~1000円/kg程度です。対してスーパーエンプラは800円/kgから数万円/kgとなります。これらでシールに使用されているものには、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶樹脂(LCP)、ポリアミド樹脂(PI)等があります。
しかし、以前に説明しましたPTFE樹脂のように柔軟性は全くありません。
従って、イメージとしては、金属などが従来使用されていた箇所に代替えとして使用されると考えたら良さそうです。
たとえば、鋳鉄などのピストンリングの代替などがあります。
もう少し、これらの材料についてみていきます。

 

6.1)ポリフェニレンサルファイド(PPS)について
耐熱性:連続使用温度は200℃~240℃
機械特性:高強度、高温下での特性低下が少なく、耐クリープ性に優れている。耐薬品性:PTFEに次いで優れている。
シール用途例としては、以前に説明しましたが、スクロールタイプの圧縮機用のチップシールなどがあります。

チップシール例 図チップシール例

 

 

(続く)

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