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新JIS規格について(5)

■発行日:2012年5月1日発行  NO.02-45

新シール概論(45)(新JIS規格について)

1.新JIS B 2401のシリーズの紹介(4)

1.2 JIS B 2401-2 Oリング‐第2部: ハウジングの形状・寸法についての続きです。

前号で、ARPのシリーズを紹介しましたが、ただの番号のみでしたが、Oリングのハウジングの設計は大切なので、もう少し内容を見ていきます。

 

このARPはAerospace Recommended Practices の頭文字を取ったものです。

 

Oリングのハウジングの基本設計はARP1231をベースにしています。
記載の内容は

  • 1)ハウジング形状の基本的な図面と面取りや偏芯の定義を説明。
  • 2)ハウジングは、用途(流体、ゴム材料、圧力、温度など)により、標準以外も必要であることを明示している。しかし、標準以外については、ハウジングの設計には必要条件を確認して行うことを強調している。
  • 3)ハウジングにおけるOリングの選定に影響を与える内容は
    • (1) 流体との適合性(AIR786:Elastomeric Compatibility Consideration relative to O-ring and Sealant selectionを参照)
    • (2) 圧力の影響への配慮(はみ出し現象)、はみ出し曲線の提示とその使用方法の説明とバックアップリングの併用方法
    • (3) 使用温度への配慮(高温時と低温時の場合の影響と配慮すべき事項、ゴム材料の選定)
    • (4) サイズの選定(AS568からの選定、太いものは、Oリングのねじれ対策となるし、また低温用にも効果ありと説明。内径と太さとの関係にも触れている。)

4)設計基準

  • (1) Oリングの内径の引き伸ばし計算方法とその推奨値
  • (2) Oリングのつぶし率(配慮すべき事項:抵抗、ゴム硬さ、圧縮ひずみの関係、熱膨張、圧力によるハウジングの変形(breathing)、Oリングの引き伸ばしによる太さの細りの計算式(この計算方式は、最近他の方式のものが、使用されてきているので、少し古くなった)
  • (3) 流体によるゴムへの影響(膨潤、収縮)を配慮した溝幅の配慮した計算式
  • (4) バックアップリングに関する使用上の配慮すべき事項
  • (5) スリッパシール(現在では組み合わせシールと呼んでいる)の紹介

 

この規格を基本にして以下の規格が設定されている。

 

ARP1232 は円筒面の固定用ハウジングの設計と寸法を示している。(Oリングの引き伸ばし率は最低2%としている)

ARP1233 は10.5MPaまでの円筒面用運動用ハウジングの説明と寸法を示す。

ARP1234 は平用での固定用ハウジングの設計と寸法を示す。

 

従来規格のAS4716以外に、最近では固定用でつぶし率を上げたAS5857 Gland Design, O-ring and Other Elastomeric Seals, Static Applicationsなども発行されています。(続く)

新JISは平成24年3月21日に発行済。

 

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