新JIS規格について(9)
2012.09.01
■発行日: 2012年9月1日発行 NO.02-49
新シール概論(49)(新JIS規格について)
1.新JIS B 2401のシリーズの紹介(8)
1.4 JIS B 2401のシリーズについての全貌を説明してきました。
本来では、多分、JIS B 2401-5としてJIS B 2410のOリング-ゴム材料の選定指針が追加される予定であったと思われます。しかし、現在のこの規格であるISO 3601-5:2002の改正が検討されており、その内容は詳しく知りませんが、ゴム材料の特性値も規定に入れることを検討しているようです。作成されますと、既に決めましたJIS B 2401-1 Oリングとの関係性が強まり、総合的に判断しなければならないので、今回は見送られたようです。
しかし、将来は整合性をとり、JIS B 2401-5として発行されると見ています。
以上、新JIS B 2401のシリーズを紹介してきました。いずれにしても規格の作成には大変な努力が必要です。
また元となるISO 3601シリーズの歴史もあり、大変長い間に各国の思惑もあり、いまでも完全に十分な規格であると思えない事柄もありながら、これらを踏まえてJISとの整合化を図られた関係者に努力に敬意を表したいと思います。
これらの規格が出来たので、今後は如何に市場にいち早く流通にのせることがシールメーカに課せられる課題です。
常に感じていることですが、日本国内でのISOをJIS化したものに対して、諸外国に比べて導入が遅れている点が気になっています。特にドイツや英国ではいち早く国内の規格化して、かつシールメーカではカタログにそのISOシリーズのシール製品を記載して、流通させていることです。
現在、日本はシールに関するISOの幹事国でありながら(TC131/SC7の幹事国で、幹事と議長)、その点の動きの遅さに苛立ちを感じていています。
その1例を言いますと、Uパッキンの規格であるJIS B 8396:2000「油圧‐往復動用ピストン及びロッドシールのハウジング‐寸法及び許容差」を製品化したものは、今時点でも国内のシールメーカからカタログが一切出ていないことです。
確かに、現在の各シールメーカで各社が標準にしているもので、ユーザも満足していることがあるかも知れませんが、これらに関しては各メーカ製品での互換性がない状態であることも事実です。
シールメーカでは初期の投資費用が大きいために、踏み切れない事情もあるでしょう。しかし、今後、グルバール化する世界では後塵を見るような気がします。
規格の話で、大部、逸れましたが、日頃感じていることをついでに書きました。
今後の予定は、
- シール設計に関係する有限要素法の現状
- シール理論(概略)
- 最近のシール関係の文献で分かった内容など漸次紹介していきたいと思っています。
(続く)
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