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冷凍機用冷媒関連について(2)

■発行日:2013年11月1日発行  NO.02-63

新シール概論(63)(冷凍機用冷媒関連について)

2 カーエアコンに関して

まえがきに記載しましたが、新冷媒については後で述べますが、先にカーエアコンに関する冷媒とゴムとの関連について説明いたします。

現在ではR-134aが使用されていますが、開発時には適合性のあるゴムの検討が行われました。
冷媒に対してゴムとの適合性をみる方法は、以前にも述べていましたが、一番はガスへの浸漬試験を実施します。
浸漬試験では、ゴムの物理特性の変化と体積変化率がポイントとなります。
 試験項目には

  1. 硬さの変化
  2. 引張り強さ変化率
  3. 伸び変化率
  4. 体積変化率

などがあります。

他方、ガスであるためにブリスタ現象の確認が重要です。(ガスがゴム内に入り込みそれらが影響して発生する破損)
もう一つは透過係数も注意すべき事項です。必然的にゴムはガスを透過しますので、透過し難いゴムの選定が大切です。

これで解決ではなく、カーエアコンには冷媒以外に冷媒油が使用されます。
この冷媒油に役目には

  1. 減摩作用
  2. 冷却作用
  3. 密閉作用
  4. 防腐作用
  5. 潤滑作用

などがあります。

いずれにしても冷媒油は、その冷媒に対して相溶性が一番大切です。
従って、ゴムとの適合性には冷媒と冷媒油の両方に適合しなければならないことになります。
次表は各種ゴムと冷媒と冷媒油との適合性を見てものです。
(資料は三菱電線工業株式会社のものです)

 

表1 各種ゴム材料の耐エアコン性
HNBR NBR EPDM CR FKM
R-134a ×
R-12 ×
PAG
鉱物油 × ×
耐熱性 × ×

注)PAGは冷媒油でポリアルキレングリコールを示します。
また表中の○:適性 ×:不適性を示します。

R-134a に対してFKM以外は適合するのですが、一番体積変化率が小さいのはEPDMでした。
しかし、従来の冷媒油には鉱物油(スニソなど)が使用できず、PAGの使用になるので、EPDMも良いのですが、車では新車は良いのですが、古い車では冷媒油を完全に置き換えることが不可能であることから最終的には総合的な評価によりHNBRが採用された経緯があります。

このように冷媒と冷媒油と使用環境も配慮するべき事項がある訳です。
次回は新冷媒について説明します。
(続く)

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